市民サイドの組織として、マニフェスト作りの支援・評価・検証の普及活動をします〜ローカル・マニフェスト推進ネットワーク〜



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地方選に根付くか マニフェスト '05/3/17 (中国新聞)

■制約多く配布できず

有権者に、政策の実行を約束するマニフェスト(政権公約)。知事選や市町村長選に根付かせるには、公選法の早期改正が必要だ—との声が上がり始めた。マニフェスト型の合同個人演説会を展開した千葉県知事選を通し、その理由を探った。(長田浩昌)

十三日に投開票され、無所属現職の堂本暁子氏が、元衆院議員の森田健作氏、弁護士の山田安太郎氏(共産推薦)の無所属二新人を退けた千葉県知事選。堂本、森田両氏が繰り広げた接戦とともに、浦安、東金、成田、千葉、松戸の五市で、告示後に開かれた合同個人演説会が注目された。

各会場の企画、運営は「千葉マニフェスト討論フォーラム」を旗揚げした日本青年会議所千葉ブロック協議会や市民団体が分担。立候補表明が告示半月前と出遅れた森田氏が初回の浦安会場で途中退席、「日程調整できない」と残る四会場を辞退するハプニングもあったにもかかわらず、来場者は計二千九百人に上った。

「貢献できた」。同フォーラムの浅井明美事務局長は、前回を6・40ポイント上回った投票率(43・28%)に一息つく。一方で「もどかしいことが多かった」とも。腐心したのは、ただでさえ公選法の制限が多い合同個人演説会に、マニフェストをどう組み込むかだった。

■国政では認知

数値目標などを盛り込み、公約の事後検証を可能にするマニフェスト。英国で始まり、日本では改革派と呼ばれる知事たちが最初に取り入れた。二〇〇三年の法改正で、政党による国政選挙での配布が部分的に認められた。しかし、地方選挙では法的に「認知」されていないのが現状だ。

千葉県選管も「知事選の選挙活動では、配布できない」との見解。そこで、同フォーラムは「選挙運動性がない政治活動目的のパンフレット」として来場者の手に渡るようにする「抜け道」を見いだした。

公選法の規定上、合同個人演説会は、候補者が「偶然、同じ会場で、同じ時間」に主催する。そこで、同フォーラムが各陣営に対し、候補名を掲載しないマニフェストの作成を依頼。いったん引き取って各会場の入り口に並べ、運営スタッフの手を経ず、来場者に自由に取ってもらう—という方法だ。

同法違反に問われないための細心の注意だが、「これは誰のものか」と戸惑う来場者もいた。「堂々と自分の政策集を配れない制度は、やはりおかしい」。浅井事務局長はあらためて思う。

■首長連盟動く

二月に発足した「ローカル・マニフェスト推進首長連盟」が公選法改正を呼び掛けるのは、この窮屈な状況を解消するのが狙いである。

連盟には現在、全国百九十八の知事、市区町村長が参加。中国地方からも岡山、鳥取両県知事ら十四人が名を連ねる。提唱者の北川正恭・早稲田大大学院教授(前三重県知事)は今回、コーディネーターとして松戸市の合同個人演説会に協力。「地盤(支援組織)、看板(知名度)、かばん(金)」を重視する旧来型の選挙文化を変えようと、運動への理解を訴えた。

公選法改正には、シンクタンク「構想日本」(東京)も賛同。第一ステップとして(1)首長選でもマニフェストを使用できる(2)国政選挙は総務省、地方選挙では都道府県選管に届け出れば候補者名、写真をマニフェストに掲載できる(3)時間や場所、手段を問わずに配布できる—ようにすべきだと提言する。

地方に芽生えたマニフェストの潮流。勢いづけるには、吟味する有権者の意識改革や、新人候補への行政情報の提供、事後検証の仕組みづくりなどと併せ、誰でも手に入れることができるよう、規制緩和を急ぐ必要がある。

ローカル・マニフェスト 首長選の候補が掲げる基本的な政策と、実現するための体系的で具体的な方策集。衆院選などで政党が示す「パーティー・マニフェスト」と区別される。数値目標、達成期限、財源、実行の手順の4項目の明示が必要。ただ、候補個人による作成の難しさにも配慮し、地方選では事後検証できる内容なら、この基準を厳格に満たさなくてもよい—とする見解もある。

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