地方政策と議会改革を学ぶ研修会「官民連携の最前線と、議選監査の役割と活用法」開催報告

公開日 2025年5月12日

 ローカル・マニフェスト推進連盟は、2025年5月9日、地方政策と議会改革を学ぶ研修会「官民連携の最前線と、議選監査の役割と活用法」を防災士研修センター(東京都千代田区)で開催しました。会場とオンラインの同時開催で、メディア関係者を含め総勢120名が参加しました。

 【第1部:官民連携(1)】では、「無印良品との連携協定~『可児市立カニミライブ図書館』の可能性~」と題して、株式会社良品計画「無印良品」銀座総店長の木村大輔氏よりご講演いただきました。店舗と図書館が融合した全国初の事例が紹介され、買い物と学びが共存する新たな地域の居場所づくりが注目を集めました。
 参加者からは「公民連携の視点から、民間の力を引き出すには行政のリクエスト力も必要だと感じる。取組みの中で、行政・議会側のこうした力が助かったとのいうのはあるか」という質問があがりました。木村氏は「地域のことをなんとかしようという人がいれば、民間にも伝わる。人が本当に熱意をもってやれば、何事もできないことはない。今回、行政側と連動がとれたのは、担当職員が横串しを通せる人だった。ビジョンを共有し、どのようなメンバーをアサインすればよいのかを考え実行できる。行政の中でそういうキーパーソンと一緒になってやると、難しい事業も実現しやすいと思う」と述べました。

 

 

 【第2部:官民連携(2)】では、「そのDX、役人だけで出来ますか?~オープンイノベーションによるDXの推進~」と題して、東京都町田市政策経営部デジタル戦略室長の髙橋晃氏と基盤系システム担当係長の和田進吾氏にご講演いただきました。通常の行政では見られないような斬新な動画やアバターを活用しながら、クラウド化や生成AI、メタバースなどを活用した先進的なDXの取り組みが報告され、民間との連携による行政改革の可能性が示されました。
 参加者からは「標準準拠システムの初期費用はどうなっているのか」「国の補助金はあるのか」「行政職員はこうした動きに対して前向きなのか」「議事録作成とAIの可能性についてどう考えるか」などについて、次々と質問があがりました。髙橋氏は、市民も行政職員もさらにオンライン率をどう上げていくのかが課題としつつ、「オープンイノベーションのマインドを持ち、さまざまな人たちとつながりをもつ。DXトレンド技術を積極的に取り入れる。この二つを進めていくと変革していくので、これからもどんどんチャレンジしていきたい」と述べました。

   

 

 【第3部:議会と監査】では、「議選監査の役割と活用法 ~時代に対応する自治体監査の進展~」と題して、岐阜県可児市議会議員の川上文浩氏、東京都あきる野市議会議員の子籠敏人氏、そして大正大学の江藤俊昭教授が発表を行いました。現地監査や監査計画の充実など、議選監査を形骸化させずに機能させる工夫が共有され、制度の意義と活用のあり方について活発な議論が行われました。
 このセッションでは、参加者の中から議選監査経験者が檀上に呼ばれ、感想や質問、自治体ごとの違いなどについての意見交換も行いました。最後に江藤教授は「こうした勉強会は、ローカル・マニフェスト推進連盟ならではの取組みで画期的」としながら、「監査委員の議論は、住民自治を進める問題だ。だとすれば、議選監査委員も議会基本条例のなかに選出の基準等を盛り込んでいくことを考える必要がある。監査基準を監査計画とともに議論して、住民自治を進めていくことが大切」と述べました。

       

 

 今回の研修会では、多様な立場の参加者が具体例を通して学び合い、実務に活かせる視点を共有する貴重な機会となりました。また、研修会の合間には、講演者と参加者が熱心に交流する姿が見られ、改めてリアルな場の大切さも実感しました。参加者からのアンケート結果のなかには、「先進的な話しが聞けて良かった。計画を立てることの大切さを学んだ」「内容が非常に具体的で触発を受けた」「この研究会メンバーになって、住民自治に直結する勉強をしたい」などの声がありました。
 ご参加・ご登壇いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後も、こうした研修会の企画などを通して善政競争の輪を皆様とともに広げてまいります。