「全国地方議会サミット2025」【DAY2】北川正恭教授【LM最終講義】開催レポート

公開日 2025年11月11日

 2025年11月8日(土)「全国地方議会サミット2025」の2日目を法政大学(東京都千代田区)とオンライン併用で開催しました。今年は全国から330名を超えるお申込みがありました。【DAY2】午後は、分権改革とマニフェスト運動を先導し、長年に渡りローカル・マニフェスト推進連盟(創立当初は地方議員連盟)の顧問をつとめられてき北川正恭 早稲田大学名誉教授による【LM最終講義】が行われました。

 はじめに「議会改革と北川正恭。足跡を再検証する」と題して、廣瀬克哉 法政大学教授、西日本新聞論説委員の前田隆夫氏、江藤俊昭 大正大学教授がこれまでの北川教授の改革と運動を振り返りました。コーディネーターは、千葉茂明 公益財団法人日本生産性本部上席研究員。北川教授が提唱してきた二元代表制の意義や、時代とともに変化してきた議会の存在価値などを振り返りながら、その歩みを参加者と共有し議論を深めました。

 

 

 千葉氏は、北川教授の三重県知事時代のさまざまな改革を振り返りながら、「当時の三重県議会には、議会事務局に非常に優秀で意欲的な職員が配置された。そして知事に気兼ねすることなく議会のために働いていた。それは当時としては画期的で、同時に知事の懐の深さを感じた。首長は議会が追認して議案をあっさり通してくれたほうが楽だが、議員・事務局職員も政策力を高め、二元代表制が機能するほうが地方自治にとって望ましいと当時の北川知事が捉えていたからだ」と述べました。

 廣瀬教授は、ローカル・マニフェストと議会改革について振り返りながら、「議員選挙のマニフェストだけでなく、議会改革の推進の観点からも、マニフェスト大賞で部門を設けて善政競争の一つの分野として確立した意義は大きい。民主主義を具体化するのは政治だが、組織的な行政の機能が発揮されないと成果があがらない。その二つをつなぐ要がマニフェストだ。マニフェスト大賞のなかでロールモデルを示し、そうしたことを実践する首長が何人も誕生している」と述べました。

 前田氏は、取材者として北川教授が社会に与えた影響を振り返りながら、「北川教授は、地方分権改革が何よりも大事だというメッセージを常に発信してきた。議会や自治体界隈のみならず、社会を構成するさまざまな人たちと一緒になり、地域から日本を変え、民主主義の足腰を強くしていくという大きな絵図のなかでそれぞれの改革を語っていた。今、中央集権に逆流する動きがあるなかで、このサミットに結集した私たちが学んだことを糧にして行動を起こしていくべきだ」と述べました。

 江藤教授は、これからの議会改革について触れながら「これまでの議論を踏まえ、このサミットを新たな熱気をつくり横展開していく場にしたい。以前は議員個人の質問しか評価されていなかった議会は、ここ20年で大きく変わった。住民自治の推進という広い意味で議会改革を進め、議会と首長が政策競争をする運動が全国に広がった。住民の福祉向上につなげる議会もある。改革は少しずつしか進まないが、一つ一つ地域から花を咲かせ、みんなで大きな花を咲かせよう」と述べました。

 

 

 

 そして最後に、「LM最終講義」と題して北川正恭 早稲田大学名誉教授が講演を行いました。会場には、北川教授の話をぜひ聞きたいと、地方議員だけでなく国会議員や首長、自治体職員、研究者、市民などさまざまな面々が集まりました。北川教授はこれまでの分権改革やマニフェスト運動などについて振り返りながら「地方分権で国と地方は『主従関係』から『対等・協力関係』になっていることを深く認識して、普段の行動から体現してほしい」と訴えました。

 そして「議員個人の努力が原点だが、会派や議会、議会事務局職員も交えて議会全体で進めていくことが大事」だとし『チーム議会』の大切さを改めて説きました。さらに「デジタル革命・AIによって、まったく新しい統治の形態ができつつある。ローカル・マニフェスト推進連盟や参加者には、このサミットの議論を飛び越え、時代を先行して新しい価値を創造してほしい」と力強く呼びかけました。

 

 

 北川教授の講演は何度聴いても、魂に響くものがあります。これからは参加者それぞれが想いを引継ぎ、気持ちを新たに各地域での取組みに向かいます。会場では、これまでの北川教授の教えや活動に感謝と敬意の念を抱きながら涙する姿も見られました。そして、花束贈呈と閉会挨拶、参加者との記念撮影が行われ、とても温かな雰囲気に包まれました。

 2005年から約20年続いてきたローカル・マニフェスト推進連盟も北川教授とともに大きな区切りを迎えます。このサミットを機に、各自治体で地域をよりよくしようと活動する実践者が一人でも多く増えることを願っています。サミットにご参加いただいた皆さま、2日間、本当にありがとうございました。

 

 

(事務局・N)


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