公開日 2025年11月20日
2025年11月20日、第06回LM会員定例会を開催しました。テーマは「女性議員と議会~多様な政策を展開するためにできること~」。講師は、前山鹿市議会議長で「くまもと女性議員の会」会長を務める、服部香代 山鹿市議会議員です。連盟会員を中心に約50名の申込みがありました。
はじめに、服部議員から「女性議員が増えることで何が変わるか」について話がありました。熊本県では、女性議員がゼロの自治体は6つあるそうです。服部議員は女性議員が増えることで、暮らしに密着した多様な視点を政策に取り入れ、社会の柔軟性を高めることができると述べました。

服部議員が初当選したとき、女性議員は一人だけ。議会の執行部側も全員男性だったそうです。そして、当時の議会棟には女性トイレはなかったとのこと。傍聴者も女性がいたはずなのに、女性が議会にいることが想定されていなかったのではというお話がありました。
そして自身が立候補したきっかけについて、東日本大震災の避難場所での出来事がありました。生理用品を届けた際に、男性の責任者に「今は必要ない」と言われショックを受けたことです。もちろんその男性に悪気はなかっただろうけれど、必要としていた人もいたはず。ものごとを決定する場所に多様な視点が必要だと痛切に実感したそうです。そして、当時の山鹿市議会は女性がゼロだったこともあり、立候補する決断をしました。

議長も経験し、議会改革も推進してきた服部議員の言葉には説得力がある
そして、女性議員の一般質問を機に、生理用品を小中学校のトイレ個室に配置することが実現した事例の紹介がありました。全会一致で市と教育委員会に要望書を提出。取材陣を巻き込み、男性議員の理解も深めながら進めることの大切さを説きました。また、なかなか人が集まらないことが全国共通課題の議会報告会では、女性議員の提案で、地域のお祭の場に出向き議会ブースを設け好評を得たそうです。
さらに、2022年に発足した「くまもと女性議員の会」の活動紹介もありました。この会では、立候補者を増やすだけでなく、当選してから女性議員の議員力を高めることにも力を入れています。月1回程度のオンラインミーティングでは誰でも相談にのりやすい環境を整え、現職議員の体験談、グループワークなども行っています。
参加者からは「男性議員の意識はどう変わってきたのか」「トイレ個室に生理用品を置く理由は何か」「議会と同じように行政側の政策担当の管理職に女性がいないことをどう考えるか」「男性議員はどのように巻き込んでいったのか」「どうやって女性議員の立候補を増やしていけばよいのか」などの質問があがりました。
服部議員は「ただ女性の意見を通そうとするのではなく、議会の合議制で手続きをふみ、用意周到に準備をして進めることが大事」「一人会派でもできることがある。行動をして少しずつでも議会を変えていこう」と提案がありました。
日本も初めての女性首相が誕生したばかりですが、政治の世界ではまだまだ女性が少ないのが現状です。しかし、服部議員のように女性が議会に参加しやすい環境を整える動きが、全国各地で広がっています。多様な声が議会に届くよう、選挙や政治文化が確かに変わり始めていると感じました。LM会員定例会は、こうした仲間の会員の活動を知る場にもなっています。

当連盟の共同代表も務めたことがある服部議員。
自身の活動だけでなく、積極的に声掛けを行うことで山鹿市議会では女性議員が増えている
(事務局・N)