「AIで議会活動が変わる!議員のためのAI実践セミナー」開催報告

公開日 2025年12月12日

 2025年12月11日(木)「AIで議会活動が変わる!議員のためのAI実践セミナー」を豊洲文化センター(東京都江東区)&オンラインにて開催しました。近年、生成AIをはじめとする人工知能技術は急速に発展し、行政分野でも、議会活動の効率化、政策提言の高度化、住民サービスの向上など、多くの可能性が広がっています。そこで、議会・議員活動での具体的な活用方法を学び、日々の業務に生かしていただけるよう「AIは初めて…!」という方も楽しく学べる「AI実践セミナー」を開催しました。いまの時代を象徴する関心の高いテーマに、北海道から沖縄まで70名のお申込みがありました。

 

オンライン登壇の片山兵衛 北海道鷹栖町議会議員と東京会場をつなぎ、セミナーを開催

 

 はじめに、東京都江東区議会議員(LM推進連盟共同代表)の鈴木綾子 氏から「地方議員のための生成AI活用術〜質問づくり・政策立案・発信の実践例〜」と題した発表がありました。実践編として、ChatGPTで議会質問原稿を作成する方法を紹介し、質疑実例として決算審査特別委員会での「カスタマーハラスメントについて」についてを取り上げました。さらに議員活動が効率化する機能として、テーマごとに一元管理できるAI作業スペース「プロジェクト機能」や、役割特化の専用AIを作成できる「機能特化型GPT」などについても説明。最後に、同じLM連盟会員である相模原市議会議員の阿部善博氏が制作した「地方議員の用語集」BOT(日本の地方議会に関する用語や制度をわかりやすく説明するAI/本人了承済)についての紹介もありました。

 

AIの取組みに詳しく議会活動での試行を重ねている、鈴木綾子 東京都江東区議会議員

 

 つづいて、オンライン登壇した北海道鷹栖町議会議員の片山兵衛 氏からは「議会広報における生成AI活用」と題した発表がありました。土曜議会「闘論」PRチラシや、決算審査「チェックマン」の作成秘話など、その内容はインパクト大!これまで目にしたことのないようなユニークな議会動画や広報媒体を複数紹介しながら、作成手順とポイントを細かく説明していきました。親しみやすさを考えた小中学生向けの議会報では、漫画もAIを活用しているそう。そして一般質問反省会での活用例や再質問以降の戦略的準備の方法、AI活用のメリット・デメリットについてわかりやすいお話がありました。そして片山議員は「AIの使い方のコツはあまり必要なくなってきてる。今後は技術の問題ではなく、どう使うか、どうともに考えるではないか」と話しました。

 

AIを活用した鷹栖町議会の独創的な議会広報は、全国で注目を集めている

 

 最後に、イチニ株式会社(選挙ドットコム)代表取締役の高畑卓氏から「AIを活用したネット広報ブログ・動画の作り方」と題した発表がありました。市民が参考にするメディアはテレビよりもネットである現状を伝え、民間企業を運営する立場で、広報・マーケティングの視点からのお話がありました。有権者や市民がふだん何を見ているのか、投票の時に何を参考しているのか。最近の国政選挙や葛飾区議会議員選挙を例えにした解説も。そして、AIを活用したブログの下書きや検索エンジン対策、SNS拡散方法なども紹介。〇〇地域の議員として、ターゲットを明確にした政策の打ち出し方について具体的な活用法を示しました。また「動画は質より量」としてAIで動画の構成案を作成する提案もありました。

 

国政だけでなく地方選挙・議員活動の最新事情に詳しい、イチニ(株)代表取締役の高畑卓氏

 

 質疑応答では「プロジェクト機能では、一般質問、予算など複数のプロジェクトを有機的に連携することが可能か」「AIを活用した動画や漫画の作成時間はどれくらいか」「質問やレポートづくりのデータの読み込ませ方はどのようにしているのか」などの質問があがりました。そして参加者から「これまで足で稼いでいた部分がウェブ中心になり思っていたより大変だと感じている。費用をかけずにAIを活用していくこと必要だ」「一般質問などではすでにAIを活用しているが、今回の内容を受けてもっとブラッシュアップしていけばより深い議論ができる」などの感想がありました。

 議会活動におけるAIの活用については、2025年4月18日のLM会員定例会でも取りあげたばかりです。しかし、1年も経たないうちに、明らかに実践例が増え展開の幅が広がっていると感じました。そして、AIといっても活用するその人その人の個性や地域の特性、こだわりが加わって面白さがあります。当連盟では、こうした勉強会をシリーズ化し、AIをどのように議会活動に取り入れていくのかを全国の皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

 

最後にオンライン参加者とも記念撮影

(事務局・N)