第07回LM会員定例会「議会報告会をどうしよう?~住民にも議会にも最適な工夫を探る~」開催報告

公開日 2025年12月27日

 2025年12月26日、第07回LM会員定例会を開催しました。テーマは「議会報告会をどうしよう?~住民にも議会にも最適な工夫を探る~」。講師は、LM会員の佐藤まさたか東村山市議会議員です。無所属の議員として活動を続け、現在は6期目、副議長をつとめています。また、マニフェスト大賞では「最優秀政策提言賞」など複数の受賞歴があります。

 東村山市議会といえば、議会報告会を続けていることで有名な議会です。2014年5月から11月まで、年4回の議会報告会を続け、これまで65回も開催してきました。そこで、その実践例から内容の変遷や議会内での意識変化、住民の反応などを報告いただき、参加者と最適な議会報告会のあり方を探る機会としました。全国の議会が抱える関心の高いテーマに、約60名のお申込みがありました。

 

 

 はじめに、佐藤議員から東村山市議会の概要、開催までのスケジュールや開催実績について説明いただきました。最初は「報告重視」だった議会報告会は、だんだんと市民との「意見交換の充実」へと変わっていきました。形式も、対面型からスタートしましたが、2015年の改選後からはグループ型を原則とし、サークル型も試行するなど工夫を重ねてきました。そして、オンライン開催もスタートし、現在は会場とZoomとの併用開催を続けています。議会ホームページでは、詳細の報告が過去からきちんと公開されているため、他議会にとっても参考になります。

 さらに、予算決算審査の後には、会派としてどうのぞんだのか「会派の意見表明をする場」をつくったり、外部のファシリテーターや他議会の議長を招き市民とともに考える場を設けたりなどの取組みも。多くの試行錯誤を重ねている佐藤議員のお話は、議会報告会を続ける議会にとって、実践と知恵の宝庫のようでした。

 

 

 佐藤議員からは「議会基本条例での『議会報告会等に関する実施要項』で原則年4回開催すると記載したことがポイント。それが継続する力につながっている。そして、開催1週間前に駅頭や街頭などで議員全員でPR活動することがチーム力につながっている」とお話がありました。また、「zoomだからこそ、障がいのある方など参加できる方もいらっしゃる。冒頭の自己紹介は手話で行っていて会場が和むきっかけにもなっている」と、多様な参加者が参加しやすい場づくりについてもお話がありました。

 参加者からは、「議会報告会で吸い上げた市民意見をどう反映しているか」「やりたい議員とそうでない議員の温度差・バランスをどうしているか」「参加者が右肩下がりになっているが、年4回開催の内容やリズム感はどうしているか」「参加者の固定化に悩んでいるが、議会報告会のエンタメ化についてどう思うか」「司会を外部ファシリテータに依頼する効果は」などの質問が次々とあがりました。それは終了時刻を過ぎても終わらないほどで、全国に同じ悩みを抱えつつ、努力をしている議員がこれだけいるのだと改めて感じました。

 

 

 最後に、佐藤議員から「議会報告会を続けていると、ずっと来てくれる市民と初めての市民との間に発言力や理解力の格差ができてくる。まだ東村山市議会でもできていないが、議会報告会を習慣づけている議会は、サポーター制度やモニター制度につなげていくことを考えるとよいのでは。それが、ただ参加いただくだけでなく改善につながり、市民の『中間応援団』のような存在になっていくのでは」と提案がありました。

 けっして簡単ではない努力を地道に続けられている東村山市議会。そして、苦労や理想と現実のギャップも含め、実直に誰にでも胸襟を開いてお話しいただける佐藤議員の存在は、とてもありがたく感じました。議会基本条例とともに全国に広がった議会報告会は、いまやその名前や形を変え多くの議会で実践が行われています。しかし、まだまだその模索は続きそうです。LM会員定例会では、このような先進的な取組みを進めるLM会員にお話しいただき、会員の皆さんと意見や悩みを共有する場として続けていきたいと思います。

 

(事務局 N)

 

<ご参考>
東村山市議会WEBサイト 議会報告会

<これまでの開催報告>
第06回「女性議員と議会~多様な政策を展開するためにできること~」
第05回「議員に必要な法律知識『初動を間違えるな トラブル対処の勘所』」
第04回 「スポットワークと自治体連携、地方創生の可能性」
第03回「ショート動画の基礎知識&Instagram運用の本質」
第02回 「議員のための生活保護の基礎知識と生活相談の実践編」
第01回「ChatGPTで進化する議会活動」