「予算審査 実践セミナー ~先進議会と学ぶ住民福祉のための予算審査~」開催報告

公開日 2026年2月14日

 2026年2月12日(木)「予算審査 実践セミナー ~先進議会と学ぶ住民福祉のための予算審査~」をオンラインにて開催しました。今回は、各議会が予算審査をより実効性のあるものへと充実させていくことを目的に、3つの先進議会に登壇いただき、実践例を交えながら議論を行いました。突然の衆議院解散と総選挙後で忙しくされている方も多いなか、全国から総勢60名の参加がありました。

 

配信会場の様子。全国の議会・議員とzoomでつないで配信を行った

 

 はじめに【課題提起】として、江藤俊昭 大正大学教授から「地域経営の本丸として予算にかかわる、政策財務の意義と審査のポイント」について話がありました。地方自治法の第96条、第97条、第147条、第149条の解説、町村議会議長会の地方(町村)議会活性化研究会の資料紹介があり、議会における予算審査の重要性について述べました。さらに、「決算から予算へのサイクル」、「総合計画を中心とした地方財務」、専門家や他議会・監査委員など「外部資源の活用」がこれからの時代のカギになることを伝えました。

 

   

住民福祉に資する議会のあり方について全国の議会で講演を行っている、江藤俊昭 教授

 

 つづいて【先進事例】として、笹田卓 浜田市議会副議長から「予算審議の充実と修正案の取組み」について発表がありました。浜田市議会は、議長を除く全議員が予算決算委員に所属しています(他の登壇2議会も同様)。予算審議の充実に向けた取組みとして、予算決算委員会の常任委員会化、予算と決算の連動、事務事業評価を予算審査に生かすことの3つ挙げました。そして、議会基本条例にもとづき「新規事業等実施に伴う説明シート」を改良したことや、修正案が可決された具体的な経緯などについて説明がありました。笹田副議長は「修正案の提案と可決は、市と議会の対立を目的としたものではなく、市民の福祉向上という共通の目的に立ち、議案の内容をより適切な形に整えた熟議の成果だ」と話しました。

 

議会改革度ランキング全国2位の浜田市議会からは、多くの先進事例の学びとヒントがある

 

 次に【先進事例】として、太田道彦 琴浦町議会事務局専門員から「監視機能強化による予算案の修正動議の取組み」について発表がありました。琴浦町議会は、予算修正をコンスタントに行い、議会の監視機能を発揮したとして、町村議会表彰を受けています。これまで議会改革を推進してきた経緯を述べながら、琴浦町の財政状況を説明。そのなかで、予算・決算審査特別委員会での審査のあと、議員間での自由討議を経て、どのように修正動議から修正案の提出までに至るのか、詳しい実務について話がありました。町が全国有数の芝の生産地であることから、東伯総合公園サッカー場グラウンドの改修事業についてさまざまな議論があり修正案の提出に至ったことなども紹介されました。

  

琴浦町議会は事務局の立場から実務的なお話をいただいた

 

 そして、川上文浩 可児市議会議長から「予算審議と決算審査の連動、歳入の確保」について発表がありました。はじめに、歳入を審査する際のポイントについて説明があり、予算決算審査サイクルとその流れ、重点事業点検報告書の活用や入手方法、決算審査による予算編成への提言の取組みなどについて話がありました。提言では「地域防災力向上事業」「有害鳥獣対策事業」「公共交通運営事業」など具体的な事例紹介がありました。川上議長は「あまり難しく考えすぎず、隣のおばちゃんがみんな困っていることが政策のタネだと考え、議員間の自由討議から提言につなげてみてはどうか。政策によっては近隣自治体に波及していく効果もある」と話しました。

 

可児市議会の先進的な取組みには、質問と補足解説が止まらなかった

 

 最後に、【ディスカッション・質疑応答】を行いました。参加者からは「組替動議提出のタイミングや執行部の対応はどうしているのか」「分科会に分けた審議で該当部分のみ当局から説明を受けその場で質疑・採決をしている。先進議会を例に改善したいがどのように一人会派で進めるべきか」「本会議の前に全会派対象に説明会が2時間程度あるが、もう少し詳しく聞きたい。当初予算案の内容説明は、どのような場でどのくらいの時間をかけて行われているか」「議会では採決の前に議員間の自由討議をはさむ流れがない。少数派の想いが反映されないまま、委員長報告になってしまう。議会運営委員会で自由討議を採用してもらうためにどのようにしたら説得できるのか」など、各自治体に照らし合わせた具体的な質問がありました。

 

質問内容は各議会で共通の課題も多い。質問いただいた方に感謝!

 

 3時間というとても限られた時間でしたが、登壇者も参加者も、住民福祉の向上に向けた予算審査を実現するためにまだまだ「話したい!聞きたい!」ことが盛りだくさんあることがひしひしと伝わってきました。また、これまでのただ学ぶセミナーとは形式も雰囲気も変わってきていると感じています。互いに【生きた実践】を持ち寄り、どうしたら【住民福祉】につなげることができるのか、それぞれの立場から率直に議論が行われる【ライブ感】が生まれているようです。セミナーも生き物です。この時間内で完了ではなく、これを機に学びの縁が各自治体での実践につながることを期待しています。ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

 

参加者と記念撮影。各議会での予算審査が魅力ある地域づくりにつながることを期待します

 

(事務局 N)