第15回マニフェスト大賞【授賞式】開催報告

公開日 2020年11月30日

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日本最大級の政策コンテスト「第15回マニフェスト大賞」授賞式を、2020年11月13日(金)六本木アカデミーヒルズ(東京都港区)を配信拠点に、オンラインで開催しました。

15回目のメモリアルとなる今大会には、過去最多となる2,842件の応募が集まり、その中から選ばれた、35件の優秀賞(計7部門賞で5つずつ)の取り組みを表彰。各7部門の最優秀賞、特別審査委員賞(箭内道彦選・秋吉久美子選)を発表しました。
その後、最優秀賞受賞者によるプレゼンテーションを経て、最終審査を実施し今年度のグランプリを決定いたしました。

 

冒頭、主催者挨拶に立ったマニフェスト大賞実行委員長の白井 亨 東京都小金井市議会議員は、「コロナ感染の状況がわからないなかで、『そもそも開催するか?』からスタートした。危機的状況だからこそ、地域での小さな取り組みにスポットライトをあてる役目を、マニフェスト大賞が果たしたい」と思いを語りました。

 

共催社である毎日新聞社の砂間 裕之編成編集局長からは、「コロナ禍で、政策本位の政治・行政が見直されている。新型コロナの厳しい状況を経て来年以降も新たな取り組みが出てくることを強く期待している」と挨拶しました。

 

ご後援いただいている共同通信社の三土 正司代表取締役専務からは、「今年は、社会の様相が一変しての授賞式開催となった。マニフェスト大賞に弊社としてかかわることができ、大変誇りに思う。これからも応援したい。」と後援のご挨拶をいただきました。

 

ご協賛企業の株式会社  NTTデータ常務執行役員 茅原 英徳様より、「ウィズコロナ・アフターコロナに向けて多様な知恵を共有する場としてのマニフェスト大賞の重要性が高まっている」とご挨拶をいただきました。

 

また、ご協賛企業の森ビル株式会社執行役員 向後 康弘様より、「マニフェスト大賞を様々な知恵を見つけるプラットフォームとして有効活用し、より良い政策・マニフェストを検討して欲しい」とのご挨拶をいただきました。

 

開催にあたりご協賛・ご協力いただきました企業様は以下になります。改めて御礼申し上げます。

■ご協賛企業名

株式会社NTTデータ様、森ビル株式会社様、株式会社メディアドゥ様
NTTアドバンステクノロジ株式会社様、東京インタープレイ株式会社様、株式会社会議録研究所様、株式会社図書館総合研究所様

■ご協力団体名

公益財団法人明るい選挙推進協会様
公益社団法人日本青年会議所様

 

第15回目となる今大会には、内閣総理大臣の菅義偉様より、お祝いのメッセージを頂戴しました。菅総理大臣からは、「マニフェスト大賞は、スポットライトの当たりづらい地方自治体の首長や議員の現場目線の政策を評価し、新たな取り組みに繋げていく大変素晴らしいことだ。本日を機に、お互いが刺激し合い協力し合ってそれぞれの地域をつくり、未来を切り開いていくために更なる活躍を期待する」との力強いエールをいただきました。

 

躍進賞

マニフェスト・議会改革を中心に、この一年間で周囲を巻き込み取り組みを前進させるなど、飛躍と成長が著しい取組みを選ぶ「最優秀賞躍進賞」に選ばれたのは、「湯沢市議会(秋田県湯沢市)」でした。女性議員ゼロの危機感から秋田県内の市議会で初の開催となる模擬議会「湯沢市女性議会」の取り組みを行いました。
受賞者は「感無量。菅首相の出身地でもあるのでメッセージはとてもうれしい。これからも頑張っていきたい」と喜びの声を述べました。
人羅格審査委員から「地方議会で、女性の活躍が大きな課題。湯沢市議会は公募で女性議員をあつめ、2年連続で模擬議会を開催された。内容も多岐にわたり充実している点を評価した」と講評を述べました。

優秀賞受賞の取り組みは、以下の計5件です。

優秀躍進賞
・湯沢市議会(秋田県湯沢市)★最優秀賞
・喜多方市議会(福島県喜多方市)
・精華町議会(京都府精華町)
・岸和田市議会(大阪府岸和田市)
・岡山市議会(岡山県岡山市)

 

コミュニケーション戦略賞

政策づくりやまちづくりのために、優れたコミュニケーションの手法やアプローチをとっている取り組みを選ぶ「最優秀コミュニケーション戦略賞」に、「町田市議会(東京都町田市)」が選ばれました。議案の審査状況を「議案のカルテ」として制作し、インターネットで公開。会議ごとではなく、議案ごとにまとめていることが評価されました。
受賞者は「議会が市民の皆様に理解いただくことを考えたとき、『難しい』と思われがちな『議案』を市民の皆様にわかっていただくことが大事と考えての取り組み。事務局の力があってできたことだと思う」と述べました。
千葉茂明審査委員は講評として、「議会の記録は、全文を読んだり関心のある部分を読むだけでも大変。それを解決できるのがこの取り組みでは。全国の議会に広がり、関心を高めることを審査委員会としても期待したい」と述べました。

優秀賞受賞の取り組みは、以下の計5件です。

優秀コミュニケーション戦略賞
・鷹栖町議会(北海道鷹栖町)
・台東区議会議員 本目さよ(東京都台東区)
・町田市議会(東京都町田市)★最優秀賞
・敦賀市議会議員 前川和治(福井県敦賀市)
・一般社団法人 Do It Yourself(岐阜県岐阜市)

 

政策提言賞

生活者起点の視点に立ち、新規性や創造性にとんだ政策を提言した取り組みを表彰する「政策提言賞」の最優秀賞には、「さいたま市議会議員 小川ひさし氏」が選ばれました。障害者当時者と共に市に独自制度の創設を求め、2019年度に全国で初めての「重度障害者就労支援制度」創設へと繋げました。
小川氏は「水も飲まずに働いている女性、働けないかもしれないという思いを市長に訴え、職員に共有いただいた。これからも全国に広がるように取り組んでいきたい」と語りました。
藤森克彦審査委員は取り組みの講評として、「小川氏が最優秀に選ばれた理由は3つある。市民の声に真摯に耳を傾ける姿勢、提言を実現していく手法、そして成果です。さいたま市では重度障害者の支援制度が実現した。国でも制度改正がなされることを期待しています」と語りました。

優秀賞受賞の取り組みは、以下の計5件です。

優秀政策提言賞
・さいたま市議会議員 小川ひさし(埼玉県さいたま市)★最優秀賞
・渋谷区議会議員 鈴木けんぽう(東京都渋谷区)
・NPO法人グリーンウッド自然体験教育センター(長野県泰阜村)
・岡山県学童保育連絡協議会(岡山県倉敷市)
・子育て支援サークルNogiku(宮崎県えびの市)

 

特別賞(箭内道彦選)

次に発表されたのは、特別審査委員の箭内道彦氏(クリエイティブ・ディレクター)による特別賞です。
特別賞・箭内道彦選に選ばれたのは、「#おうち先生」の取り組みです。コロナ禍で休校となった子供たちに、大学生がオンラインで授業をする取り組みです。
受賞者は、「最初で最後の取り組みを評価していただき感謝しています」と喜びのコメント。
箭内氏からは、「コロナ禍は制約もあったが、クリエイティブな取り組みも生まれた。”おうち”と”先生”をつなげたことでまさに新しいものが誕生した」と講評を述べました。 

 

成果賞

活動を通じて政策を実現させ、成果を出している「成果賞」の最優秀賞には、「多胎育児のサポートを考える会(東京都千代田区)」の取り組みが選ばれました。全国の多胎児家庭世帯からWEBアンケートで回答を集め、多胎児家庭の抱える様々な困難を可視化。報道や国会・都議会・基礎自治体議会での質疑にも複数取り上げられ、令和2年度からの多胎児家庭支援制度の創設へと繋げました。
受賞者は、「多胎児は100人に1人と身近なもの。一見楽しそうでも、家での育児はとても大変。そうした状況に対し想像力のあるまちになればいいと思っている」と述べました。
西尾真治審査委員は、「きっかけは友人の手伝いという小さなことだったと思うが、そのあとの行動力がズバ抜けていた。ウェブアンケートを実施し、報道や議会を動かして制度創設につなげたのは、まさに最優秀成果賞にふさわしい。1学年に1人いるが、でも大変さは知らない。それを広報して共感を拡げたことが大事な点。気づいた人が行動しないと変えていけない、という意味では、勇気を得た素晴らしい取り組み。受賞者の『政治の力を信じられる』という言葉が印象的だった」と講評しました。

以下は優秀賞受賞の計5つの取り組みです。

優秀成果賞
・都民ファーストの会東京都議団(東京都)
・東京都(東京都)
・多胎育児のサポートを考える会(東京都千代田区)★最優秀賞
・認定NPO法人3keys(スリーキーズ)(東京都新宿区)
・おぢやマスクプロジェクト(新潟県小千谷市)

 

マニフェスト推進賞<市民部門>

市民起点で掲げた政策課題を市民運動や政治運動などで推進している取り組みを表彰する「マニフェスト推進賞<市民部門>」の最優秀賞は「株式会社チューリップテレビ(富山県)」が選ばれました。富山市議会をおよそ4年にわたって集中的に取材。2016年「議員報酬の引き上げ」取材を皮切りに、後に 14 人の市議が辞職する「政務活動費の不正」の調査報道につなげました。
受賞者は、「報道機関は権力の監視が役割。今回の取り組みについては”特別なこと”というよりふだんの仕事の中で市民に政治に関心を持ってもらうためにどうすればいいかと思って取り組んだ。映画やこの受賞をきっかけに市民の関心が高まればと思っている」と思いを述べました。
人羅格審査委員は、「富山市議会の不正問題を、議員報酬を切り口に取り上げて、大きなうねりとした。さらにシンポジウムを開催し、映画も上映するなど多角的に取り組まれた。近年の地域のメディアの活動として、注目すべき大きなものだと思う。これから富山市議会が本当に変わっていけるか、今後が大事とも思う」と期待も込めて評しました。

以下が計5つの優秀賞の作品です。 

優秀マニフェスト推進賞<市民部門>
・Oneさいたまの会(埼玉県さいたま市)
・株式会社チューリップテレビ(富山県)★最優秀賞
・一般社団法人トリナス(静岡県焼津市)
・一般社団法人UMF(大阪府大阪市)
・株式会社issues(全国)

 

マニフェスト推進賞<議会部門>

マニフェストや公約、各種計画に基づいた議会活動が行われ、その検証・改善などマニフェスト・サイクルが推進されている取り組みを選ぶ「マニフェスト推進賞<議会部門>」の最優秀賞は、「政策立案等に関するガイドライン」を策定し常任委員会ベースの議会活動を推進した「奥州市議会(岩手県奥州市)」が選ばれました。
受賞者は「わが市は大谷翔平選手の出身地だが、議会も監視機能と積極的な政策提言の”二刀流”で、これからもまちづくりにますます取り組んでいきたい」と意欲を述べました。
曽根審査委員は、「『議会とは何か』を問う中で『議決・決議』という従来の権限と『政策提言』という政策をつくってそれを議決まで持っていくことを実現していった点は評価できる。さらに市民を巻き込みインプットを増やしたり、フィードバックを受ける努力は、あるべき議会の1つの姿と言える」と取り組みを評価しました。
また、授賞式ではサプライズで「審査委員会特別賞」が発表されました。「審査委員会特別賞」に選ばれたのは、「取手市議会・同議会事務局(茨城県取手市)」で、コロナ禍での議会運営、デモテックの取り組みが評価されました。

以下が優秀賞5つです。

優秀マニフェスト推進賞<議会部門>
・奥州市議会(岩手県奥州市)★最優秀賞
・取手市議会・同議会事務局(茨城県取手市)★審査委員会特別賞
・墨田区議会事務局(東京都墨田区)
・よこすか未来会議(神奈川県横須賀市)
・上越市議会(新潟県上越市)

 

マニフェスト推進賞<首長部門>

選挙に際してマニフェストや公約を作成し、それに基づいた行政運営がなされ、マニフェスト・サイクルが推進されている取り組みを表彰する「マニフェスト推進賞<首長部門>」の最優秀賞は、「多治見市長 古川雅典(岐阜県多治見市)」が選出されました。市民や有識者、執行部、市議会の3者による徹底した議論とその末の政策決定を経ることで個々のマニフェストを事業計画に落とし込み財政的な担保を確保することで100%の実現をめざす、「マニフェストを基軸とした政策競争を行政運営の原動力とする体制づくり」に取り組んでいます。
古川市長は、「多治見市民の幸せのためにマニフェストをつくる、計画をつくる、実行・実現をする、しっかりチェックをするという、このマニフェスト・サイクルをお認めいただいたと思う。最優秀に恥じないよう今後も邁進していきたい」と喜びを述べました。
曽根審査委員は、「最優秀に選ばれた理由は、マニフェストや総合計画、パブリックコメント、市民参加がそれぞれ『部分』ではなく相互連携して全体のシステムが出来上がり、実行する体制ができていること。やるべきことをきちんと実行している点が評価されている。今後も改善し、さらにシステムの進化を進めてほしいと思っている」と賛意を表しました。
また、議会部門と同じくサプライズで発表された「審査委員会特別賞」として、「新城市長 穂積亮次(愛知県新城市)氏」が選ばれました。市が主催する新城市市長選挙立候補予定者公開政策討論会条例を制定した取り組みが評価されました。

以下が5つの優秀賞作です。

優秀マニフェスト推進賞<首長部門>
・多治見市長 古川雅典(岐阜県多治見市)★最優秀賞
・新城市長 穂積亮次(愛知県新城市)★審査委員会特別賞
・郡山市長 品川萬里(福島県郡山市)
・磐梯町長 佐藤 淳一(福島県磐梯町)
・つくば市長 五十嵐立青(茨城県つくば市)

 

最優秀賞受賞7組によるプレゼンテーション

いよいよ、各7賞部門の最優秀賞受賞者によるプレゼンテーションの時間へ。白井亨マニフェスト大賞実行委員長進行のもと、受賞者から取り組みをオンラインにてプレゼン、アピールしました。審査委員はこのプレゼンテーションも参考に、この後の最終審査に臨みます。

▽最優秀賞
・最優秀マニフェスト推進賞<首長部門>
 多治見市長 古川雅典(岐阜県多治見市)
・最優秀マニフェスト推進賞<議会部門>
 奥州市議会(岩手県奥州市)
・最優秀マニフェスト推進賞<市民部門>
 株式会社チューリップテレビ(富山県)
・最優秀政策提言賞:さいたま市議会議員
 小川ひさし(埼玉県さいたま市)
・最優秀成果賞
 多胎育児のサポートを考える会(東京都千代田区)
・最優秀コミュニケーション戦略賞
 町田市議会(東京都町田市)
・最優秀躍進賞
 湯沢市議会(秋田県湯沢市)

 

特別賞(秋吉久美子選)

プレゼンテーションを終え、次に発表されたのは、特別審査委員の秋吉久美子氏(女優)による特別賞です。
特別賞・秋吉久美子選に選ばれたのは、「一般社団法人Shien」の取り組みです。地域の自助・共助となる一番身近な自治会・町内会組織運営に特化したスマホアプリ「結ネット」を開発。アプリを通じて地域課題の解決を目指す取り組みです。
秋吉委員からは、「コロナ禍で3密を避けるなど、分断がある状況の中でスマートフォンを通じてそれぞれが連絡を取り合うことができ、分断された状況を解決していく、Shienの企画、アイディアに賛同した」と選考の理由を述べました。
これを受け受賞者からは「地域の絆、自助・共助がますます大事なってくる。それらを繋ぎとめるための地域プラットフォームが『結ネット』。町内会、自治会から『繋がる』『広がる』『楽しくなる』、地域社会を推進していきたい」と喜びと抱負を述べました。大変おめでとうございます!

 

グランプリ:古川 雅典多治見市長に決定!

プレゼン発表も加味し審査委員による厳正な審査を経て、第15回マニフェスト大賞のグランプリが決定しました。第15回マニフェスト大賞のグランプリは、「多治見市長 古川雅典氏(岐阜県多治見市)」に決まりました。
古川氏は受賞のコメントとして、「2020年はコロナ禍で、つらい市政運営だった。学校が休校してしまう中で、職員・市民・市議員が一体となった総合計画の実現、それに対する財政的な裏付けの提示ができた。多治見市にとって2020年はコロナで終わりそうだったが、グランプリを受賞できたことが嬉しい」と述べました。

 

曽根審査委員「マニフェスト大賞新しいステージへ」

第15回マニフェスト大賞の授賞式は、初のオンライン開催でしたがつつがなく終了しました。
会の最後に総括を述べた曽根審査委員は、「コロナ禍という事前に想定できない、対応できない事態が発生した。その中で、マニフェストのあり方が変わりつつある。これまでのマニフェストは、ドーンと4年後の姿を打ち出して着弾点のズレをみていくものだった。いまは、逐一状況を測定し、微調整しながら最終目標に到達するマニフェストになりつつあると感じる。また、デジタル化で問われるのは『紙をタブレットにする』ことではなく、”デジタルという全体のシステム”を活用して現状を設計しなおすことができたか。意思決定やプロセスをどうデジタル化していくかが、国も地域も問われている。
各最優秀の取り組みから成果がたくさんあった。マニフェスト大賞も15回目を迎え、新しい段階になってきたと感じた」と会を締めました。

 

受賞者と審査委員による記念撮影

 

第15回マニフェスト大賞審査委員・実行委員

以上

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