第3回受賞結果

■マニフェスト大賞 地方議会部門

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 三重県 三重県

新政みえ

「新政みえのビジョン」では、5つの重要な政策方向、25の具体的な政策目標を掲げているが、これらの目標を条例、提言、議会質疑等、まさに議会の基本的な活動を通して実現していく方向性を示している点は、議会マニフェストの王道として評価できる。また、すでに会期や審議日数の改革などで成果を出すと共に、政策目標の達成度を検証する取り組みもしており、マニフェスト型議会運営モデルとしても高く評価できる。

ノミネート 岩手県 岩手県

岩手県議会民主・県民会議

2007年4月の統一地方選挙で掲げたマニフェストである「岩手生活維新」は、県議団22名の行動指針となっている。昨年5月には、マニフェスト実現化委員会を設置し、議会改革などの問題を重点課題として優先的に取り組む体制を構築した点は、評価できる。現在、議会基本条例、観光振興基本条例案などの提案に向けた活動が進行中であり、こうした活動が具体の成果として表れてくると、地方議会が議員提案条例によって新しい地域を切り開いていくモデルの確立につながるだろう。

ノミネート 埼玉県 川口市

自由民主党川口市議会議員団

「KAWAGUCHI改革プログラム」は市内の20万世帯全戸に配布され、1200名の市民が参加した説明会が開催された。こうした一連の「政策を市民に届ける努力」は評価できる。また、各政策の進行状況の検証を毎年行い、その結果をホームページや会派ニュースで市民に伝えようとする点も、マニフェストを実現していく過程で情報公開、市民との協力が不可欠であるということを示しており、参考にすべき点である。すでに全体の2割の政策が実現されているが、「対話と責任」を基軸に、進行中および検討中の改善策が実現されれば、議会活動によって、川口市の人とまちは確実に元気になるだろう。

ノミネート 京都府 京都府

民主党京都府総支部連合会

「ここが違う!京都スタイル」は、政策を7つのテーマに分類し、2011年までに民主党が目指す京都の形を明らかにしたものである。このマニフェストの最大の特徴は、一つの地方議会で実現すべき政策でなく、京都府議会、京都市会ほか7議会が共同して取り組む内容となっている点にある。今後、地方自治体の枠をこえて、広域的な取り組みが必要になってくることを鑑みれば、この取り組みは、分権時代のマニフェストの可能性を示すものといえよう。また、2008年8月には、詳細な中間評価を行い、マニフェストサイクルを具体的に動かしている点も評価できる。

ノミネート 熊本県 熊本市

公明党熊本市議団

既存施策の拡充などを中心とした要望型の議会活動から脱却し、熊本市が目指すべきビジョンとそれを実現するための政策を盛り込んだマニフェストをまとめたことにより、公明党熊本市議団は政策指向型の会派へと生まれ変わった。また、実現しやすい政策だけでなく、女性や若者の問題など、自治体、議会、市民が協力して取り組まなければ解決できない課題を提起している点も、勇気ある挑戦として評価できる。政策集団としての会派のあり方を示している点で、議会マニフェストの新しい挑戦といえるだろう。

■最優秀成果賞 

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 北海道 栗山町

栗山町議会

2006年5月に全国初の議会基本条例を制定。07年秋には執行部による総合計画原案に対し、議会が修正案(対案)を作成、最終的に議会案がほぼ8割採用された。特に名称変更(「発展」から「総合」)まで実現させたのは衝撃的。執行部の“専管事項”とみられてきた総合計画に議会意思を反映させた、いわば自治体議会の歴史に残る取り組み。

最優秀賞 長野県 長野県

長野県決算特別委員会

県に対し、決算認定議案審査報告への対応状況を明確にした上で議会へ示すよう求める決議を2007年12月議会で可決。委員長報告では、総括的事項に加え個別的事項の指摘も盛り込み、翌2月には、執行部から対応状況の報告が行われた。決算不認定に対する法的拘束力がない中、決算審査の実効性を高める意欲的な取り組み。

ノミネート 千葉県 流山市

流山市議会

2003年の地方分権特別委員会設置以降、対面演壇方式や議員による議会費の検討、一般質問への一問一答方式、専門的知見の活用など急速に議会改革が進む。08年3月に設置した議会基本条例策定特別委員会では詳細な会議録をHPで公開し、集中講座やシンポジウムも開催。09年3月制定予定の同条例を機にさらなる改革が注目される。

ノミネート 東京都 国分寺市

星文明

2008年3月議会で、透明性・民主的プロセスの充実の観点から、建築審査会の委員を任命する際の手続きに議員提案で議会同意を盛り込んだ(建築審査委員会設置条例の改正)。長による委員の選出過程を明らかにし、議会によるチェック機能の充実(逆に言えば議会も一定の責任を負うことになる)につながる意欲的な取り組み。

ノミネート 三重県 三重県

三重県議会

議長による定例記者会見や県議会出前講座、検討会・政策討論会議の設置など2006年12月に制定した議会基本条例をフルに活用。中でも08年から定例会の招集回数を年2回、会期日数を240日程度にしたことは現行法のしばり(議会招集権や長による専決処分)に風穴を開け、議員間討議の拡大につながる画期的な取り組み。

ノミネート 熊本県 熊本県

自民党熊本県議会議員団

2007年3月議会で、熊本県中小企業振興基本条例を提案、全会一致で可決した。中小企業振興に関する県の理念をうたうとともに、基本方針及び具体的施策も列挙し実効性を確保。執行部の関係各部課から取り組み状況が報告されるなどアフターフォローも光る。県民ニーズをとらえ、スピーディーに政策条例を制定した意義は大きい。

■最優秀アイデア賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 東京都 東京都

増子博樹

転院を求められても、転院先を探せずに不安を感じる患者は多い。他の病院や施設を紹介するメディカルソーシャルワーカーが配置されている病院ばかりではない。そこで転院問題への対策として、行政がメディカルソーシャルワーカーへの後押しをすることや、医療連携クリティカルパスの普及を求めた提案は、医療難民・介護難民の切実な悩みに応えうる提案として評価できる。今後の提案内容の掘り下げと実現に期待したい。

最優秀賞 神奈川県 横浜市

伊藤大貴

PFIは公的資金を使わずに、民間資金によって社会資本を整備していく手法である。財政状況が厳しい折、PFIへの期待は高い。一方、PFIにおいて、公共部門は事業者に利用料金などを長期的に支払う必要が生じるので、実質的には一時的な支出を繰り延べたものと捉えられる。この点で、PFIを債務負担行為としてバランスシートに記載するという提案は、PFIの本質を見抜いたものである。英国の議論も調べており、PFIのリスクに着目した有意義な提案と考えられる。

ノミネート 千葉県 成田市

雨宮しんご

大学の誘致とインターンシップ事業の展開という提案は、地域の魅力を若者に伝授し、地元に就職する若者を増やす一つの有効な方法であろう。長期的な地域の活性化につながる可能性がある。一方、少子化の進展の中で大学誘致はリスクを伴う。また、インターンシップ事業を有意義なものとするための工夫も重要だ。これらの点の掘り下げが課題といえよう。

ノミネート 神奈川県 神奈川県

伊藤久美子

低い投票率は、民主主義の危機である。政治に対する有権者の関心を高めることは当然としても、有権者の利便性を考えた投票所の設置も、投票率の改善に影響を与えるだろう。この点で、駅の近くやショッピングセンターなどに期日前投票所を増設していくという提案は、有効だろう。投票の秘密を担保できる場所の確保や借り入れ費用といった課題を克服して、全国にその成果を示してほしい。

ノミネート 京都府 綾部市

塩見麻理子

学校の空き教室を利用して、給食の時間に、高齢者が孫と一緒に学校給食を食べることのできる「コミュニティーレストラン」。まずは、ネーミングがとても良い。また、学校給食を通じて子供が地域の高齢者と交わる時間をもつことは、地域全体で子供の心を育む機会になっていく可能性がある。今後の展開に期待したい。

■ベストホームページ賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 北海道 福島町

福島町議会

この10年間進めてきた「開かれた議会づくり」に沿ってホームページによる情報公開も、情報の幅広さ、質の高さ、更新スピードの点で群を抜いている。議事録、選挙公報といった基本情報の充実に加えて、議案資料の事前公開、文書質問、議会の評価、議員の自己評価などの斬新な試みが多い。

最優秀賞 神奈川県 神奈川県

松尾崇

政策の表現がうまい。選挙時のマニフェストに掲げた55項目の個別政策ごとに、私が考える現状--私はこうしたい!-- 行政の対応・進捗状況の3つの蘭に分けて説明している。進捗状況を年々更新することによって、有権者に対する説明責任を果たそうとする方式は斬新でわかりやすい。

特別賞 島根県 浜田市

浜田市議会

ホームページはよく整理されていて見やすい。なかでも特筆すべきは政務調査費の全面公開。
議員別支出額・支出内訳が一覧表にまとめられたうえ、各議員が提出した収支報告書と領収書の写しがすべてみられる。ここまで徹底したHPによる公開は全国の模範になる。議長交際費の使途も詳しい。
 
特別賞 神奈川県 鎌倉市

岡田和則

ブログ「日刊岡田リポート」は、直面する行政、議会、地域の問題について日々の進展を報告する。情報のUPは深夜~未明に及ぶ。なかでも市議として入手した官民各種の原資料をPDFで掲載、市民と情報を共有しながら考えようとする姿勢が素晴らしい。質量ともに優れたメディアといえる。

ノミネート 埼玉県 さいたま市

民主党・無所属の会さいたま市議団

全国的にみて会派のホームページづくりは苦戦気味だ。議員個人の視点ではなく、グループ共通の視点から発信しなければならない難しさがあるからだろう。民主党・無所属の会は、会派としての政策提言、議会報告、視察報告、政務調査費の公開の3点に重心を置いている。チームワークがよい。

ノミネート 静岡県 静岡市

静政会

静政会は静岡市の政令指定都市移行(2005年)を機に結成された最大会派。ホームページには政策提言や視察、勉強会の情報をこまめに発信している。既存政党や地域の枠(2003年旧静岡市と旧清水市が合併)を超えて集まった会派だけに、共通認識の醸成に一生懸命な様子が伝わってくる。

ノミネート 岐阜県 岐阜市

和田直也

2007年4月に26歳で初当選した最年少議員。政策への取り組み、市会ニュース、議会での質疑、活動レポートなど、すっきり整理されていて見やすい。若さ、明るさ、一生懸命さが伝わってくる。議員報酬、政務調査費の報告も詳しく、政務調査費の収支報告で30万円の残金返納に好感がもてた。

■地域環境政策賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 徳島県 上勝町

笠松和市

ゼロ・ウエイスト政策(廃棄物の焼却・埋立ゼロ)などを先駆的に進めるとともに、木質バイオアマス等の再生可能エネルギーの導入によって2050年までに産業・生活系の二酸化炭素を2004年比でマイナス100にすることを目標にし、着実に取り組んでいる。新規性の高い先駆的な取組が多く、政策実現度も高い。住民参加の点でも優れている。

最優秀賞 京都府 京都府

熊谷哲

京都府議会において、2005年に全国初の「希少野生生物の保護条例」の制定を提案し、全国レベル、地域レベルの環境NGO、学者などと連携して運動を展開した結果、2007年に「京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例」が制定された。新しい分野の条例制定を提案し、住民などとの連携によって、政策実現したという点で大いに優れている。

ノミネート 長野県 小諸市

芹澤勤

平成18年3月の施政方針において「ロハス」的な政策として、生活環境、生活様式などの市民生活から、地産地消、食育、グリーンツーリズム、健康などの事業を進めていくとし、「小諸発『こもロハス』計画」において具体的な事業を明らかにしている。いずれの事業も、小諸の特性を生かした取組であり、優れている。

ノミネート 神奈川県 横浜市

中田宏

市長が打ち出した市役所内「アントレプレナー事業」制度で風力発電事業が企画され、2004年2月の施政方針で同事業に取り組むことを提示した。2007年度から電力を販売している。大都市の中での風力発電であり、また、財源も住民参加型市場公募債の発行であり、ユニークである。

ノミネート 神奈川県 南足柄市

沢長生

平成18年3月に南足柄市家庭ごみ減量化計画「500gへの挑戦」を策定し、20年からは全市域での廃食用油のリサイクル、ミックスペーパーの分別収集を実施している。また、これらを進めるためにも、「キッズISO」などの環境教育の充実してきている。いずれも住民との協働による具体的な取組であり、また、政策実現度も高い。

ノミネート 鹿児島県 大崎町

東靖弘

平成10年にごみの分別収集を開始し、20年度現在、ごみ排出マイナス85%を達成している。さらに、庁内体制を整備し、総合的温暖化対策「知恵の輪・ひとの輪・資源の輪・ストップ温暖化プロジェクト」を実施している。政策実現性、住民参加などの点で優れている。

ノミネート

海ごみ対策推進地方議員連盟

河川・内陸部から、また、外国から漂着する海ごみに対処するため、海ごみに関心を持つ地方議員を結集して、「海ごみ対策地方議員連盟」を設立した。地方議会議員のヨコの連携を図りながら、環境からのまちづくり・地域づくりへと、そのネットワーク力を生かそうという点で、非常に高い新規性を持つといえる。今後の活動を期待したい。

ノミネート 大阪府 八尾市

井上依彦

八尾市内の学校に、太陽光発電、天然ガスなどを取り入れるとともに、天然素材、天然木材を活用するよう提案したところ、翌年度の耐震改修工事において予算化され、2006年に天然木材を活用し校舎が完成した。学校に着目したところがユニークであり、政策実現度は極めて高いといえる。

■マニフェスト大賞 首長部門

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 静岡県 浜松市

鈴木康友

マニフェストをかかげ、これを推進・実現するには何が必要か、かんどころを見事に押さえた堂々たる取組みである。作成に際しての意見募集、就任後の工程表作成、総合計画・実施計画反映、市幹部との約束・公表、1年後の今年5月進捗状況評価・公表に見られる実行の運びは周到かつ着実で、いささかのスキも見られず、完成度が高い。

特別賞 北海道 恵庭市

中島興世

マニフェストは「子どものしあわせが広がるまち」という一点に絞りこんで自分への選択を問い、絵本仕立てとして理解・共感度を高める有力なモデルを提起した。その実行のすがたは、政策の一貫性を原動力に、総合計画の修正、市民の積極的活動の働きかけと獲得、議会との厳しい関係など、緊張感に満ち満ちたものであり、マニフェストは「志」であり、「責任」であることを改めて教えてくれる。

ノミネート 神奈川県 藤沢市

海老根靖典

議員時代からのマニフェストへの造詣の深さが、マニフェストそのもの、そして就任後の執行管理体制づくりと職員への浸透、総合計画組入れ、進捗度・目標達成両用の評価体制などに表われている。本年就任直後の補正での重点配分など、まだ間がないにかかわらず、そのマニフェスト実行力は見事と言えよう。引き続き期待である。

ノミネート 山口県 防府市

松浦正人

決して力むことなく、足元をよく見つめ、また、議会との関係にも配慮しながら、マニフェスト実行プログラムを進めている。「政策協議に関する基本的方針」に始まる手順等にそつはない。市民評価を含め実行評価も充実している。住民投票条例制定を含め、市民参画の成果があがり、職員育成・経営品質向上の成果も期待される。

ノミネート 熊本県 御船町

山本孝二

「7つの柱プラス行財政改革」という簡明なマニフェストに支持を得て後、「マニフェスト実行隊」「実施計画兼マニフェスト実施状況確認表」「町民への情報公表・共有」、「町民・職員ワークショップ」など町政を変えるための、地に足のついた、しかし鋭い戦略で実行の歩を進めている。住民との関係を機軸に据える着眼がさすがである。

■マニフェスト推進賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 福岡県 大川市

社団法人大川青年会議所

マニフェストを軸に、選挙前に公開討論会、選挙後に検証大会を開催する「マニフェスト・サイクル」の先進事例。公開討論会は1,700名の市民を集め、マニフェストと議事録をホームページに掲載。検証大会は毎年開催し、市民・市職員・議員による評価を実施。市民主体のマニフェスト型地域経営の可能性を切り開き、他地域の範となっている。

特別賞 静岡県 牧之原市

みんなで語ろうまきのはら実行委員会

市長マニフェストの検証大会を、市民と行政の協働型で実施。専門家の評価だけでなく、多くの市民が関わる場面をいくつも用意したことに特長がある。特に合意形成型ワークショップを2回実施し、市民が直接議論に参加する枠組みをつくった点が注目される。勉強会やファシリテータ研修によって、運営体制を強化している点も見過ごせない。

ノミネート 神奈川県 神奈川県

NPO法人自治創造コンソーシアム「ローカル・マニフェスト評価研究委員会」

専門家と公募市民による評価委員会を組織し、実際の評価作業を通じて、マニフェストの評価・作成手法を開発。開発した技術は、ワークショップやフォーラムを通じて広く発信している。また、定期的に評価を行うことでマニフェスト・サイクルの機能を実証した。学術的にも評価される取り組みであり、マニフェスト推進における貢献度が高い。

ノミネート 京都府 京都市

選挙ドキドキ初体験プロジェクト

若者の政治参加や投票率向上に狙いを定めたユニークな取り組み。アンケートをもとに100の質問を作成し、「逆マニフェスト」として候補者に提示。全候補者の回答を○×の表形式でわかりやすく示した。インターネットをうまく活用し、若者ならではの質問を選択したり、大学や成人式を利用したりするなど、若者にこだわった独創性が光った。

ノミネート 福岡県 宗像市

社団法人宗像青年会議所

宗像市・福津市の2市を活動地域とする青年会議所が、両市で公開討論会と検証大会を企画。うち1市は候補者が1人となり公開討論会が中止となったが、検証大会は両市で実施した。複数地域でマニフェスト・サイクルの構築に向けて精力的に取り組んでいる点、また公開討論会が中止となっても工夫して検証大会を実現した点が高く評価される。

■審査委員会特別賞(箭内道彦選)

区分 都道府県名 自治体名 名前
特別賞 埼玉県 戸田市 斎藤直子
特別賞 長崎県 大村市 園田裕史