第7回受賞結果

■マニフェスト大賞 地方議会部門        ※受賞団体・個人名の下段は、審査委員講評を記載しています

最優秀賞   倉敷市議会 青空市民クラブ (岡山県倉敷市)
2009年1月選挙において掲げた会派マニフェストを所属議員がしっかりと活動の中心に据え、政策項目37項目中22項目を実現した。その間、毎年、成果の自己評価を重ねた上に、任期最終年度の本年は、外部評価委員による評価を受けるともに、市民400人の参加を得て、会派マニフェスト検証・評価大会を開催、優れたマニフェスト首長に匹敵するマニフェスト・サイクルの回しを行って見せた。その取組の高い持続力は他の範となるものである。
審査委員会
特別賞
  自由民主党横浜市支部連合会 (神奈川県横浜市)
昨年、特別賞を獲得したマニフェスト「manifesto2011 LDPYokohama責任と約束」で掲げた8つの条例、55の政策の実現に邁進しており、早速の成果として、市会初の委員会提案条例「資源回収持ち去り禁止条例」を委員長を含む他会派の巻き込みと議論の主導により制定した。また、8つの条例プロジェクトチームを中核に本会議・委員会の質問等議会活動を展開させ、政策多数が実現を見ている。マニフェスト政策の持続的な実現が期待される。
優秀賞   浜松市議会 創造浜松 (静岡県浜松市)
会派所属議員11人の選挙時の公約あるいはマニフェストを一つにし、会派マニフェストに相当する政策集「創造浜松の約束」として発表、これを会派活動のよりどころとして政策実現に踏み出し、会派として市政報告会を開くなど、マニフェスト・サイクルに向けて実績を積み重ねている。政策集の「政策実現の手引き」「コード(政策)カルテ」という構成には、高い独創性が認められ、活動の「見える化」を押し進めることに成功している。
優秀賞   豊田市議会 自民クラブ議員団(愛知県豊田市)
市民意見を踏まえてマニフェスト「豊田市市議会自民クラブ議員団未来ビジョン」を作成・発表し、毎年度「予算への要望書」を提出すること及び継続的議会質問を起動力にし、具体的成果を「未来ビジョンチェックシート」で確認・評価し、それをもとに次年度の作戦を練るかたちで、マニフェスト・サイクルを強く意識しながら、逐年、政策を実現しつつある。強い持続力を内包する取り組みとして注目される。
優秀賞   地域政党 京都党(京都府京都市)
地方議会マニフェストは実効性の保障において首長マニフェストと区別されるべきことを意識し、地方議員が目指すべき街の姿を示すという意味の「地方議会版マニフェスト」を作成、これをもとに執行部への予算要望を提出して政策推進を図ってきた。財政制約・資源制約の中で、政党としての公約の責任を強く自覚し、最低限の政策提案に留めるとともに、その中で収支の見直しを最優先とする優先順位付けを行うことで実現確度が高まっている。

■最優秀成果賞

最優秀賞   飯田市議会 (長野県飯田市)
飯田市議会は、議会改革のトップランナーの1つとして知られている。議会が自治基本条例を提案し制定したこと(そこに地域自治を明記)、議会報告会では全体会だけではなく常任委員会ごとの分野別の議論も行われていること、そして議会が行政評価を行い決算認定や予算要望へとつなげていること、である。
これらを統合し、議会からの政策サイクル(飯田市議会では政策形成サイクル)として理論化して実践した。その際、議会報告会を起点にしている。この議会報告会で提出された市民意見等を起点に、2つの流れができあがっている。1つは、を政策立案に結び付ける流れであり(所管事務調査が中心)、もう1つは行政評価の対象事業として組み入れる流れである。この2つを意識した議会からの政策サイクルである。
飯田市議会の議会改革は、先進的で継続的である。それを保障するために、さまざまな組織を立ち上げてきた。議会制度検討委員会は、自治基本条例の議会条文の再検討を中心に「議会改革・運営ビジョン」をまとめた。今後の議会改革の方向を示す文書である。また、さらなる議会改革を進めるために「議会改革推進会議」を常設機関として設置した。
なお、議会からの政策サイクルを実践するにあたって、議会報告会を重視するとともに、応募書類では明確ではないが、総合計画を常に基軸にしている。総合計画に積極的にかかわっているからである。総合計画を豊富化する視点も同時にもってほしい。また、自治基本条例の再検討にあたって、議会条文だけを対象にしている。制定から6年を経て議会として全体的な評価をすべき時期に来ている。
審査委員会
特別賞
  公明党横浜市会議員団 (神奈川県横浜市)
内容および制定過程という点から画期的な意義がある。まず、内容上の意義である。協働について横浜市は横浜コードなどを策定し先進的な実践を行っていた。議員提案によって協働のバージョンアップを図るために市民活動推進条例が全部改正され市民協働条例が制定された。「契約による協働」だけではなく、「行政の応分負担」「自主自立事業」「提案制度」を含めたものである。協働をさらに進めるものとなっている。この条例は、附則で「3年ごとの見直し」規定を挿入している。常に、議会として(正確には自治体として)検証する義務付けを行ったものである。
制定過程の意義についてである。共同提案によって、全会派の賛成で可決したこと、その条例案の策定にあたって、パブリック・コメントやラウンドテーブルなど住民の声を踏まえた案としていることは重要である。その際、「市民協働は、本来、行政と民間が対等の立場で行わなければならないことから、もっとも議員提案が望ましい分野」であるという視点は、今後の議員提案を考える上で重要な視点である。
審査委員会
特別賞
  議会事務局研究会 (関西中心)
議会改革や、今後の新しい議会運営には、議員の努力も重要であるが、議会事務局の充実が不可欠である。従来からの議会事務局の充実についての指摘はあったが、一般的で現実化するには至らなかった。議会事務局の充実強化の具体的な方策が重要となっている。
議会事務局実務研究会の登場や、議会事務局強化のためのシンポジウムなどはその流れである。議会事務局研究会は、早い時期に(2009年)発足した。議会の政策立案能力を高める上での議会事務局の課題、議会と住民との新たな関係を構築する上での議会事務局の役割等を「実務面から探る」ことを目的としている。ここで提起された議会(狭義)と議会事務局との「車の両輪」論は、「チーム議会事務局」を創り出す上での重要な視点である。議会と議会事務局との協働は成り立つ。
この研究会は、研究をして提言するだけではなく、その時々にシンポジウムを開催している。これは単なる啓蒙活動を超えて、新たな論点を抽出する場になっていると思われる。
研究会といえば、研究者や当該テーマにかかわる自治体職員(この場合議会事務局職員)によって構成されるのが一般的である。しかし、この研究会は、自治体職員(執行機関)や議員も参加している。これがもう1つの特徴である。議会が、「住民自治の根幹として」動き出し、それを支援する議会事務局の重要性が認知されてきたからであろう。議会事務局改革は、自治の問題である。こうした動きを創り出した運動の1つとして重要な意義がある。この運動を追い風にしてそれぞれの自治体で議会と議会事務局の「車の両輪」論(高沖秀宣)を基礎に議会事務局改革を進めてほしい。
優秀賞   飯綱町議会 (長野県飯綱町)
飯綱町議会は、町民政策サポーター制度を導入し、公募住民と議員が政策研究に取り組んでいる。住民と歩む議会の実践であり、議員定数の削減が進んでいる議会が監視機能・政策立案機能を発揮する手法の1つとして画期的なものである。この制度を継続し、「集落機能の強化と行政との協働」をテーマに実践している。
この実践とともに、今回強調されているのは、執行機関の監視とともに、住民・議会・行政による今後の飯綱町を考えるシンポジウムを開催し議論を巻き起こそうとしたことである。
まず、執行機関に積極的な提言を行うことは、一般会計補正予算案を否決、補正予算案の減額修正、町が裁判で一部敗訴した訴訟で町長の即日控訴の専決処分を不承認、総合計画の修正などにみられる。追認機関から脱した議会運営を行っている。
執行機関と緊張関係はありながらも、今後の地域経営を考えるために、議会と行政は、区長組長会とともに、地域経営のルールである自治・議会基本条例とその軸となる総合計画をテーマにシンポジウムを開催している。すでに指摘した、町民サポーター制度はこれを踏まえて公募されている。この調査にあたっては、職員と共同で行う予定になっている。
住民、議会、行政、といった三者間関係を意識した活動を議会は行っている。さらに、それを進めてほしい。ただし、執行機関への積極的な提言は、重要であるが、その説明責任を果たす場が弱い。議会報告会など、今まで以上に住民に対する説明責任と広聴機能の充実が課題といえるのではないだろうか。
優秀賞   山陽小野田市議会 (山口県山陽小野田市)
議会が1つにまとまることの重要性は今日認識されるようになってきた。「チーム議会」「人格を持った議会」といった用語に表されている。山陽小野田市議会は、こうしたチーム議会を積極的に支える「チーム議会事務局」が生まれていることである。
今日議会改革には、議会事務局の支援が重要なことは認められている。とはいえ、その実践は個々の議会事務局職員の努力、あるいは議会事務局として動いたとしても体系的に制度化されているわけではない。山陽小野田市議会事務局は、狭義の議会(議員によって構成)にもっとも身近でともに活動している。委員会(および協議会)活動に担当書記を配置していることは他の議会でも行っている。山陽小野田議会は、活動を共にしている立場から、政策提言を議会に行っている。
議会基本条例制定特別委員会52回すべてに参加している議会事務局(局長、書記)は、議会運営のサポートだけではない。その内容を熟知しているがゆえに、意見を述べるとともに、その内容を「議会事務局の気づき」としてまとめ提言した。これは、7人の事務局職員の英知を結集したものである。議会事務局がチームとして議会の政策提言を支援した。その際、条文解釈だけではなく、執行機関がどのように考えるかなどの意見も述べている。
委員会は、議会事務局との協働により、「戦友意識」を持つことにより、その「気づき」を取捨選択して議会基本条例を制定した。
議会事務局が積極的に議会に対して提案したのは、信頼関係の醸成も重要であるが、議会が住民福祉向上のために動きだしたという背景があることを見過ごしてはならない。
優秀賞   民主・都みらい京都市会議員団  (京都府京都市)
大都市での住民自治を進める「都市内分権」の1つの手法である「区民提案・共汗型まちづくり支援事業」を提案し実現した。その内容とともに、会派でまとめた政策を、市長選に際して提示して政策協定を結んだ上で選挙応援をして、市長当選後にはその一部が実現されたことに意義がある。
大都市、とりわけ政令市は、大規模化し住民の声が届きにくい。また、行政区の特性も多様化している。そこで、行政区ごとに住民ニーズに即した行政が必要になっている。そこで、「区民提案・共汗型まちづくり支援事業」を提案し実現した。これを区民組織である「区民まちづくり会議」が決定することになっている。その正統性は、首長の責任である。住民が事業の決定にかかわることは重要ではある。とはいえ、予算規模が大きくなった場合、その正統性を保障するための施策が必要になる。それぞれの区での基本計画の策定と首長による承認、あるいはまちづくり会議の準公選制(新潟県上越市)も検討されてよい。
なお、政策協定は重要である。しかし、これが「与党意識」、あるいは「野党意識」を醸成しないような仕掛けを考える必要もある。

■最優秀政策提言賞

最優秀賞   中谷一馬(神奈川県議会議員)
議員自身がまとめた「新世代における地方自治体の未来モデル構想」では、県が物品の購入先などを選定する際に参加業者が安値を競い合うリバースオークションや、広告等の収入事業を一元管理して販売戦略を策定することなどを提言。このうち「リバースオークション」は、参加業者が互いの価格をオープンにし、時間内であれば何度でも入札価格を引き下げることができるというものだ。既に神奈川県は試験的に導入し、開始価格の半値で調達先が決まるなど経費削減効果が表れているという。「安かろう、悪かろう」にならないように、質を担保する仕組みなども組み合わせながら、今後の制度化に期待したい。
優秀賞   琵琶博之(北海道蘭越町議会議員)
ICTを活用した町の活性化とPRを目的に「蘭越町フェイスブック会」を立ち上げ、「0円で始めるfacebookのビジネスセミナー」「主要観光施設と飲食店のfacebookスポットの作成」などを実施。特筆すべきは、「お金をかけず、稼動をかけず、知恵を使う」という考え方のもと、メンバーからの寄付のみで運営し、町から金銭的・人的な補助は受けていない点である。具体的な成果の検証とともに、この提言のさらなる進化を期待したい。
優秀賞   子籠敏人(東京都あきる野市議会議員)
心停止状態に陥った人の救命のために、AED(自動体外式除細動器)の配備が求められている。しかしAEDは高額なため、その配備は容易ではない。そこで企業などからスポンサーを募り、AEDのボックスに広告主名を記す代わりに、無償でAEDを提供してもらう仕組みを考案した。実際、スポンサーがついて2台設置することができたという。予算ゼロでも、工夫によって事業を推進できるという実例は、自治体職員の意識改革にもつながる。新領域への展開に期待したい。
優秀賞   室谷弘幸(石川県加賀市議会議員)
市債に依存した財政運営の危険性を市民に知らせるため、「加賀市借金(市債)白書」を作成。一方、市議会では、市債の元金・利子償還額一覧表の公表を提案し、市債発行をチェックできる仕組みの構築を図ろうとしている。上記白書には、借金が多大の利子負担を生むことが記されている。万一金利が上昇すれば、事態は一層悪化して市民の生活に大きな影響が出ることが考えられる。そうなる前に、その危険性を市民に伝える意義は大きい。
優秀賞   越田謙治郎(兵庫県議会議員)
県と市町において、政策協議の場の常設化の提案。これによって、県と市町の間で適切な役割分担が図られ、お互いの施策についてすり合わせが容易になるという。また、県と市町の二重行政や類似事業を排除して、財政の健全化につながることも期待されている。単なる連携や意見協議の場ではなく、「常設化された政策協議の場」という点が重要である。実現して、その具体的な成果を全国に示すことが望まれる。
優秀賞   村崎浩史(長崎県大村市議会議員)
市外や県外で活躍している大村市出身の調理師や飲食店オーナーとつながることによって、地元産品の販路を拡大していこうという提言。具体的には年に一度ほど、大村市出身の調理師や飲食店オーナーを囲んで、大村市の生産者と会ってもらうことなどを提案している。また、販路拡大を目指すだけでなく、地域と地域、人と人をつなげていくことが視野に入れられている。成功モデルとなって、全国に発信することを期待したい。

■最優秀コミュニケーション賞

最優秀賞   流山市議会 (千葉県流山市)
「議会の見える化」、そして「市民が見たくなる議会」に向けた取組みを積極的に推進。議場における会議用80インチスクリーンやプロジェクター、パソコン、スマートフォン電子採決の導入、委員会のユーストリーム中継、ペーパレス化を目指した全議員へのタブレット端末機の導入、民間企業などとの共同研究で議会HPのリニューアル化を図るなど議会ICTの先頭を走る。市議会ICT推進基本計画を全会一致で可決するなどそのマネジメントも光る。
審査委員会
特別賞
  鳥羽市議会 (三重県鳥羽市)
2010年2月に地方議会で全国初のツイッターを導入、同年9月からほぼすべての議会の会議をインターネットで中継。議会のICT化の推進とともに直接市民と接する議会報告会・意見交換会を多くの場所で開催しているのも特徴(昨年は全国最多の37か所)。アンケート調査によると市議会だよりを約8割の市民が読み、議会の会議を46%が見たことがあると回答。議会側からの積極的な情報発信が着実に市民の関心を高めている。
優秀賞   芽室町議会 (北海道芽室町)
2012年12月からの通年議会の実施とともに、年4回発行の議会広報誌を年12回発行と、こちらも通年化。一般に、定例会以外の議会・議員活動は住民に伝わりにくいことが議会への誤解を生む要因の一つ。議会情報の公開と共有は議会と町民との距離を縮めるものになろう。議会モニター、議会サポーター制度の導入、全員協議会や議会運営委員会などを含めたインターネット中継、北大大学院との包括的連携協定の締結も注目される。
優秀賞 明石若手議員討論会 (兵庫県明石市)
U(アンダー)-39の4人の若手市議が議場を飛び出し、市民の前で討論会を開催。特定の会派や議会全体ではなく、1期・2期目の超党派の議員による取組みであることも特徴だろう。中学校の給食、震災ガレキの受け入れ、議員定数と報酬という市民に身近だったり関心の高い討論テーマを設定。議員同士が激論を闘わせることは、市民と議員との垣根を低くするとともに議員自身にとっても資質向上につながるのではないか。
優秀賞   山中けいじ(千葉県松戸市議会議員)
「議会だより」には会派ごとの一部しか賛否が公表されず、公的記録にも残らないという。議会での公開を提案しても反対の声が上がることから、議員・住民の有志と事務所スタッフでチェックして議案賛否一覧を作成。住民に配布するとともにインターネットでも公開、議員個人の議会報告会でも取り上げる。本来は、議会として行うべきことだろうが、このようないわば“ゲリラ”的な取組みが市民の政治意識を高めることにもつながるのではないか。
優秀賞   小林のぶゆき(神奈川県横須賀市議会議員)
「Google Maps」という地図情報を活用し、市内のハコモノ施設を可視化。第1弾として「貸館編」のチラシを作成し、市民に配布するとともに、市民を巻き込んで「横須賀ハコモノ研究会」を開催した。地理情報システム(GIS)の活用という情報の見せ方、丁寧な市民への情報提供、施設やサービス削減という「不利益の配分」につながる政治家としては忌避しがちなテーマにあえて挑戦している点も高く評価したい。

■マニフェスト大賞 首長部門

最優秀賞   川勝平太(静岡県知事)
「マニフェストの三段跳びサイクル」を展開している。(1) ホップ:マニフェストの初年度での実施状況の公表、工程表の作成。(2) ステップ:「進行中」施策を盛り込んだ全県民参加型の「総合計画」の中へのマニフェストの発展的継承を行い、その施策の公表と実施。目標と工程表に照らした施策の評価と結果の公表。(3) ジャンプ:総合計画を不測の事態(東日本大震災など)に対応できるように柔軟性をもたせ、年度ごとの重点施策の提示とその説明責任の遂行。 という三つのステップを踏みながらマニフェストの発展的実現を進めている点が特徴である。
優秀賞   古川雅典(岐阜県多治見市長)
市長選挙が行われる年度に、総合計画の策定又は見直しを行っており、選挙の際に掲げたマニフェストを総合計画に盛り込むことでマニフェストが総合計画における政策として位置づけられ、実行されるシステムとしている。マニフェストの普及促進においても市長と地域住民の意見交換の場として13小学校区ごとに地区懇談会を実施している点が特徴である。
優秀賞   尾関健治(岐阜県関市長)
マニフェストの主要項目を「市長マニフェスト推進計画」において39項目58事業として具現化している。「市長マニフェスト推進計画」は、毎年度、取組状況を関市のイメージキャラクターとイメージ図を使用して市民に分かりやすく公表し、進捗管理を行っている。また、「市長マニフェスト推進計画」と関市第4次総合計画との整合を図っていることから、外部評価として総合計画審議会での意見を「市長マニフェスト推進計画」にも反映する点が特徴である。
優秀賞   泉房穂(兵庫県明石市長)
「弁護士職員一挙5名採用」という地方自治体の質的充実への改革が特徴的。地域主権時代の到来に備え、地方自治体みずからが真の自治を担えるだけの力をつけていこうとする挑戦的な取り組みといえる。「市民への訪問相談」「不祥事対応」「“先駆け条例”へのチャレンジ」「地域主権に向けての改革案づくり」等を弁護士が担っており、マニフェストを実行するための一点突破型モデルの事例と言える。
優秀賞   山本孝二(熊本県御船町長)

町民、議会、行政の三者で総合計画を作り上げている。御船町総合計画策定町民会議で総合計画の素案づくりを行い、総合計画審議会を経て町長に答申した。議会は、議会基本条例を制定し、総合計画の基本構想、基本計画を議決事件として条例に規定。町長は総合計画審議会へ諮問し、答申を経て総合計画素案にマニフェストを溶け込ませ議会に上程した。議会は、全員協議会で町民会議の素案を上程前に2回チェックし議員の提案を行った。町民との合意形成を図るためのマニフェスト意見交換会も開催している。

■最優秀マニフェスト推進賞

最優秀賞   政策研究ネットワーク「なら・未来」 (奈良県奈良市)
我が国でローカル・マニフェストが初めて本格的に登場した2003年より、市民側から立候補予定者にマニフェストを逆提案する「市民マニフェスト」の運動を展開しており、市民によるマニフェスト推進の草分け的存在である。政策研究団体として、市民主権型自治体の構築を目指す、という明確な理論的バックボーンを有しており、市民の視点に立ったレベルの高いマニフェスト検証や政策提言を行いながら、地道に実績を積み重ねている。
審査委員会
特別賞
  沖縄県明るい選挙推進青年会VOTE (沖縄県)
選挙公報が発行されていない地域で、フェイスブックを活用して独自の選挙公報を作成したり、候補予定者インタビューを動画配信したりするなど、若者視点の意欲的な取組が光る。また、常時啓発活動として実施している選挙出前講座に、マニフェストを活用したまちづくりシミュレーションゲームを導入しているのはユニーク。これは市民性教育の副読本としてテキスト化され、学校教育や社会教育の教材としても活用されており、裾野を広げている。
優秀賞   学生団体「選挙へGO!!」 (青森県)
学生による活動であるが、青森県内8大学25名が参加しており、組織・ネットワークに広がりがみられる点がよい。活動も意欲的で、学生ならではの機動力やメディア活用力が発揮されておりユニーク。親しみやすさや面白さを取り入れ、若者が参加しやすいように敶居を下げる一方で、政治家動画サイトや議会傍聴など、踏み込んだ活動も展開している。団体としてのマニフェストを作成し、目標値と責任者を明記していることも、推進力の一因になっている。
優秀賞   NPO法人ドットジェイピー (全国)
学生がチームに分かれ、30年後のビジョンを描きつつ、そのために必要な重要政策を、予算等の分析を踏まえて提案するというスキームがよい。その過程で、メンターがついて、財政等に対する理解を深めつつ検討を進められるプログラムが作り込まれており、すぐれた政治教育のツールにもなっている。コンテスト形式で参加者の意欲を高める点も面白い。様々な協賛や後援を得て事業を推進しているが、これらを学生スタッフが運営している点に驚く。
優秀賞   平戸市まちづくり市民委員会 (長崎県)
青年会議所による公開討論会から、有志の市民委員会による検証大会に引継ぐという興味深い事例。きめ細かく膨大な準備作業の積上げによって、検証大会を実現した。3班に分かれ、市民・市職員・商店主・観光客等へのアンケート、病院へのヒアリング等の調査を行い、問題点を指摘するだけでなく、提案も行っている。検証大会で意見交換の時間を設けたり、大会後の動きもフォローアップしたりするなど、これまでより進化した取組になっている。

■震災復興支援・防災対策賞

最優秀賞   国立大学法人岩手大学 (岩手県)
被災地にある大学として組織的に支援に取り組み、しかも研究、教育機関としての特徴をよく生かしている点が評価された。
岩手県三陸沿岸地域の復興に向け6部門制の本部を設置、今春から全学組織の推進機構に移行した。学生パワーによるボランティア活動から学術的な知見を生かした水産業、農林畜産業支援まで活動は幅広い。釜石市と久慈市に活動拠点を置き情報の収集・提供などを行うユニークさにも注目した。
審査委員会
特別賞
  小泉地区 明日を考える会 (宮城県気仙沼市)
津波で甚大な被害を受けた気仙沼市小泉地区の住民有志約20人が昨年4月に会を設立、高台への集団移転の実現を目指している。
大学教授らからアドバイスを受けながら勉強会を重ね、中央エリアに小川や集会所を配置した移転ビジョンをまとめた。集団移転にいちはやく取り組み、住民主導型のモデルケースと目されている。困難に負けず地域コミュニティーの自立を目指す被災各地の集団移転に向けた努力に敬意を表したい。
優秀賞   原正夫(福島県郡山市長)
東日本大震災の発生後、子どもたちを放射線から守るため自主的に取り組んだ。当初、国は「校庭などの表土除去の必要性はない」との立ち場だったが、郡山市は独自の判断で校庭の表土除去を実施した。また、学校給食について全ての自校給食校が毎日測定できるよう機器を設置するなど、安全性の確保に努めている。
開成山野球場の避難施設への活用をはじめとする防災対策の強化も合わせ、「安全」への意識の高さが評価された。
優秀賞   関西広域連合(広域防災局)
関西広域連合は近畿を中心に7府県などの自治体が参加する特別地方公共団体。東日本大震災では、府県ごとに担当する被災県を決めた「カウンターパート方式」による支援をいちはやく実施、広域ブロックによる効果的な被災地支援のモデルを示した。
九州地方知事会との災害時相互応援協定の締結、関西防災・減災プランの充実・発展など広域防災システムの構築も戦略的に行っている。 95年の阪神大震災の教訓を忘れぬ、機動的対応が評価された。
優秀賞   ESRIジャパン(新潟大学、新潟市と連携)
津波で被災した自治体にとって、いかに正確かつ迅速に被災状況を把握し、罹災証明など膨大な事務を処理していくかが極めて大きな課題だった。
ESRIジャパンは福島県相馬市の要請で地理情報システム(GIS)を用いた支援活動を展開。新潟大学、新潟市と連携し、罹災証明業務のスピードアップに協力した。航空写真による被害状況やがれきの把握にも寄与した。支援の実効性に加え民間、自治体、大学が連携した機動力が評価された。

■審査委員会特別賞(箭内道彦選)

審査委員会
特別賞
(箭内道彦選)
  湘南カフェ (神奈川県湘南地域)
 
審査委員会
特別賞
(箭内道彦選)
  銀河連邦(秋田県能代市、岩手県大船渡市、神奈川県相模原市、長野県佐久市、鹿児島県肝付町、北海道大樹町)
 

■審査委員会特別賞(秋吉久美子選)

審査委員会
特別賞
(秋吉久美子選)
  岩手県久慈市
 
審査委員会
特別賞
(秋吉久美子選)
  福島とつながる種まきプロジェクトネットワーク (東京都国立市)
 

※審査委員講評の担当は次の通りです
マニフェスト大賞 地方議会部門: 塚本壽雄 早稲田大学政治経済学術院教授
最優秀成果賞: 江藤俊昭 山梨学院大学法学部教授
最優秀政策提言賞: 藤森克彦 みずほ情報総研 社会保障藤森クラスター 主席研究員
最優秀コミュニケーション賞: 千葉茂明 月刊「ガバナンス」編集長
マニフェスト大賞 首長部門: 北川正恭 早稲田大学政治経済学術院教授
最優秀マニフェスト推進賞: 西尾真治 埼玉ローカル・マニフェスト推進ネットワーク
震災復興支援・防災対策賞: 人羅格 毎日新聞社論説委員