第5回受賞結果

■マニフェスト大賞 地方議会部門

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 埼玉県 川口市

自由民主党川口市議会議員団

2006年10月に137項目に及ぶ会派マニフェスト(川口改革プログラム)を作成して以降、持続的にその進捗の検証と政策内容の見直しを積み重ね、2010年8月には2011年の次期改選期に向けた新たなマニフェストを作成することにより、会派としてマニフェストサイクルをワンサイクルまわすという全国でも特筆される実績をあげた。マニフェストの検証については、別途の外部評価を得る備えも行っており、すきがない。また、新たなマニフェストは、会派としての市民アンケートを行うことにより得られた1500人以上からの回答を踏まえて絞り込んだ60項目のものであり、これに示された市民との直接対話を目指す姿勢と努力は、それだけを取り出しても大きな評価に値する。

優秀賞 青森県 三沢市

みさわ未来

みさわ未来は、2010年3月の結成以来、市民とともに、政策・マニフェストを協働立案し、市民生活向上と市政活性化に取り組むことを目的とし、これに沿って、以降、研修会を定期開催して研鑽を積む一方、2010年6月には、会派主催の「議会報告会&タウンミーティング」を開催し、市民に6月議会の報告をするとともに、市民から市政の課題を聴取した。これは青森県では初めての会派主催の報告会であり、その先進性が高く評価できる。さらに、市民とのタウンミーティングを開催した点は、会派結成の趣旨を早速実行に移した試みであって、地方議会の改革・活性化と住民の参加を導く上で、今後の成果が期待される。

優秀賞 埼玉県 所沢市

2006年10月の第一次案を皮切りに、2007年10月、会派「翔」としての、それまでの予算要望を脱却した戦略提案であるローカルマニフェスト「所沢サバイバルプラン(マニフェスト版)」を公表し、議会での一般質問・議案質疑等を通じて、議会基本条例の制定などを含め、その実現を追求し、現実のものとしてきた。そして、それら成果を自己評価し、市長のマニフェストと対比するなどして、分かりやすく公表しており、会派としてのマニフェストサイクルがしっかりと回りつつある。評価内容は、未実現項目を明示するなど公正であり、善政競争に資する取組みとしてのマニフェストへの自覚がよくあらわれている。

優秀賞 京都府 京都府

民主党京都府連

民主党京都府総支部連合会は、前回の統一地方選挙で民主党京都マニフェスト「京都スタイル」を作成し、選挙後、その実現のすがたにつき、これまで3年半の間に府議会・各自治体議会について2度の進捗状況確認を実施し、結果を公表してきている。そして最終年度である本年は、進捗状況の最終検証を予定するとともに、次期マニフェストへの準備を進め、かつ、それぞれの自治体について会派マニフェストの作成を要請している。この取組みは、地方議会マニフェストの可能性を示すとともに、マニフェストサイクルの重要性がしっかりと意識され、政策の実現に結び付けられている点で高い評価に値する。

優秀賞 熊本県 熊本市

くまもと未来

2010年8月に熊本市議会「くまもと未来」として、会派マニフェスト「がまだす宣言」を作成した。これは、会派の公約と所属議員ごとの政策提案からなっている。その特徴としては、市民を意識した内容・デザインとともに、市民参画を織り込んだ政策実現のステップを明示している点がある。会派・議員のマニフェストは、そのマニフェストサイクルを議会の場・活動でどう実現していくかが課題とならざるを得ないが、くまもと未来の取組みはこれへのひとつの解答を示したものとして特筆される。サイクルの始動として、議会基本条例の提案に向け、市民の策定会議開催が予定されていると聞く。成果に注目したい。

■最優秀成果賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 千葉県 流山市

流山市議会

 流山市議会は、議会改革の先駆者として有名な議会である。議会情報の公開(政務調査報告書の情報公開コーナーの設置など)、議会の政策形成能力の向上(専門的知見の活用など)、執行機関との対峙の手法開発(議会費の要望書の提出など)、といった一連の議会改革、さらには自治基本条例と同時に制定された議会基本条例の制定過程には、精力的にPI手法を取り入れていた。まさに、改革メニューが満載されている。その成果から、すでに第3回マニフェスト大賞、第4回マニフェスト大賞では最優秀成果賞にノミネートされている。
 今回、こうした「一連の議会改革」をベースに、さらに進化した議会改革が行われた。ユーストリームによる委員会審議の公式ライブ中継(ツイッタ―の併用)、携帯電話(スマートフォン)を利用した電子採決方式の導入である。委員会中継や電子採決だけを取り出せば、すでに実施している議会もないわけではない。しかし、流山市議会は、新たに身近に広がった活用が容易なツールによって実践している。その意味で、全国の議会での波及効果は大きい。
 しかも、これらの改革を、議会の戦略として打ち出している。「市民に開かれた議会」の実現を目指して、さらなる情報発信と情報通信技術の推進を求める決議を行うとともに、流山市議会ICT化基本計画策定も行っている。
 こうした改革は、議会改革を進める議会の重要なメニューを提供しているものといえる。とはいえ、これらの改革が、どのように住民の福祉向上につながっているかが今後の議会改革をはかる指標となる。この点の評価を是非してもらいたい。
 
最優秀賞 鳥取県 倉吉市

12名の議員有志

 地域の産業振興はどこの地域でも重要なテーマの1つである。倉吉市議会の12名の有志(条例案提出は6名)は、この課題に果敢に取り組み条例案を策定し、議会は可決した。「くらしよし産業元気条例」である。重要であるが、かなり幅広いテーマであり、まさに地域経営の軸ともいえるテーマを議会から発信したことにまずその意義がある。20回以上の検討会と意見交換会に基づき条例案をまとめ上げている。
 この条例は、地域経営にかかわる基本条例の位置を占め、前文も置かれている。基本方針(持続的発展、外貨獲得産業の育成と地域内循環、地場産業の育成等)とともに、地域産業戦略会議の意見を反映させた地域産業振興ビジョンの策定を明確にしている。そのビジョンは、総合計画に反映させ政策体系の中に位置づけられなければならないことも強調している。また、数値目標の明確化、進捗状況の管理・評価を行うことなど、一連の政策サイクルの中に明確に位置付けている。
 さらに、市長の責務だけではなく、事業者の責務、市民の責務、そして議会の責務(ビジョン推進にむけた協力、市長への助言等)も明確にしている。地域が一体となって地域をよりよくしていこうとする意欲が見て取れる。
議会が地域経営に責任を持つ実践のサンプルを提供したものとして高く評価してよい。そうだとすれば、議会がこの条例制定を先導するだけではなく、それを具体化した振興ビジョンの策定にも責任を持つべきである。議員は地域戦略会議の構成員ではない。とはいえ、その会議と議会が意見交換をすることも必要である。また、そのビジョン策定にあたっての議会のかかわり方も論点となる。報告を受けたうえでの豊富化だけではなく、そもそもそのビジョンを議会の議決事件とすることも模索してよい。今回の申請書類だけからは、これらの点は明確ではない。是非検討していただきたい事項である。
優秀賞 北海道 北海道

自民・民主・公明・フロンティア

 北海道障がい者条例(略称)を民主党・道民連合と自民党・道民会議が中心となって各派の共同提案(共産党を除く)として成立させた。DPI北海道ブロック会議という当事者団体のフォーラムを受けて、各会派が競争し提案を行い調整しながら可決した。
 民主党・道民連合はアンケート調査、自民党・道民会議は障害者等への意見聴取など、さまざまな住民の意見を踏まえて条文化の作業を行っている。ただ、申請書類では、フォーラムと議会・会派との関係が明確ではない。また、会派間調整のルール化も明確ではないために、一過性のものか恒常的なものか判定できない。
優秀賞 北海道 札幌市

札幌市議会

 実効性ある条例を会派間調整、議員間調整を行いながら制定した意義は大きい。札幌市たばこの吸い殻及び空き缶等の散乱の防止等に関する条例をはじめ4つの条例をそれぞれ、自民党、公明党を中心に、時には民主党、そして超党派で議案を提出した。この条例に基づいて、ポイ捨て散乱等防止指導員が制限区域内等の巡回など具体的な施策が行われた。実効性ある条例制定である。
政策条例を議員提出で制定する試みは重要である。今回の申請書類では明確ではないが、ここで行われた会派間調整、議員間調整の手法の一般化を試みてほしい。同時に、政策提言にあたって、会派が起点となっている。会派のマニフェストとの関連の明確化も必要となる。また、会派だけではなく、委員会の所管事務調査の中からの政策提言も試みてほしい。そこでは、さらなる会派間、議員間調整を公開の場で行うことができる。
 
優秀賞 神奈川県 横浜市

横浜市会

 中小企業振興は、地域経営にとっての焦眉の課題である。横浜市会では、横浜市が発注する仕事を原則として市内の中小企業に発注するように政策転換するために、中小企業振興基本条例を制定した。会派間調整が行われ、全会一致で可決された。
当該議会では、議員提案の政策条例が可決されたことは初めてであった。今後さらなる議員提案の充実にむけて活動してほしい。
 価値を含む重要な条例である。策定にあたって中小企業事業者からに聞き取りを行っている。「他事事項」として排除されていた入札にかかわる金額以外の総合評価入札制度も可能となった。この基本条例において入札制限に地域性だけを加えるかどうかも重要な論点である。こうした論点を含めて、議会として公聴会開催などの政策過程への広範な住民参加が必要である。議員提案の初めての政策条例をさらに広げる契機にしていただきたい。
 
優秀賞 大分県 大分市

大分市議会

 議会基本条例の制定および子どもに関する条例の制定に向けた取り組みが今回の申請の対象である。この議会基本条例には、議会改革のさまざまなメニューが網羅され実践されている。意見交換会の実践は興味深い。宣伝を議員が先頭に行ったこと(のぼりを立てた宣伝や、シラシやポケットティッシュの配布)、住民の意見の整理とその後の対応の報告(いいっぱなしには終わらせない)、各常任委員会委員の少なくとも一名の出席(責任も持って回答できる)、などである。
 議員がチームとして政策課題に取り組んでいることもこの議会の特徴である。全議員によって構成される議員政策研究会を設置している。ここで、政策課題を設定するとともに、子どもに関する条例制定にあたっては、子どもにかかわる団体、小学生、中学生、高校生との意見交換会やアンケート調査などを行い、現実に根ざした制定を目指している。
 議会基本条例については、中核市での最初の制定を強調している。大規模自治体でも議会改革や議会基本条例が必要なことの宣言でもある。とはいえ、すでに県議会や政令市でも議会基本条例は制定されている。中核市の特徴を模索してほしい。
 また、議会基本条例は全議員の総意によって制定された。全議員が議会改革を進める意思を示したという意味で重要なことである。とはいえ、議会は住民のものである。その視点も持ち続けてほしい。
 

■最優秀政策提言賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 東京都 足立区

長谷川貴子

「行政・街づくりへの『カラーユニバーサルデザイン』の導入」
全国で男性の20人に1人、女性の500人に1人が色覚障害をもつとして、公共施設の案内表示や、区が発行する印刷物について、「カラーユニバーサルデザイン」の導入を提言。具体的には、区の案内表示や印刷物を作成する際に色使いを配慮することで対応する。これに伴う新たな財政負担は生じない。この提言によって、色覚障害者の生活の利便性が高まると共に、色覚障害への人々の理解が深まることが期待される。
最優秀賞 神奈川県 神奈川県

菅原直敏

「議会改革に関する50の提案」
議会改革に関して、「開かれた議会」「自立した議会」「効率的な議会」という三つの視点から50の提言を行っている。提言は「神奈川県議会―議会改革に関する50の提案」という119頁に及ぶ冊子にまとめられている。注目すべきは、これら提言は、国内や海外の地方議会の事例調査を行った上でまとめられた点である。政策提言には、こうした地道な調査が欠かせない。
優秀賞 群馬県 桐生市

井田泰彦

「議員発、市役所の文化を変えるキッカケづくり~桐生市行政評価条例の議員提案~」
市の行政評価に際して、できる限りデータを基にすることで透明性、公平性、客観性を確保することなどを基本原則とした「行政評価条例」が提言されている。評価結果は、予算編成、企画立案、組織管理に活用するといった理念も盛り込まれた。市が予定する「事業仕分け」などの基盤になって、市民の立場に立った効率的・効果的な施策の運営が期待される。
優秀賞 千葉県 船橋市

日色健人

「監査委員事務局における公認会計士採用の提言と実現」
監査委員事務局に公認会計士を採用することが提言されている。自治体の財政が厳しい折、監査の重要性は高まっている。こうした中、識見委員としてではなく、職員として公認会計士を採用することは、他の職員が専門知識を活かした効果的な監査方法を学ぶ機会にもなり、意義が大きい。実際、本年7月に公認会計士の募集が開始された。専門家の採用にはコスト増を伴うことが予想されるが、今後それを上回るだけの成果が期待される。
 
優秀賞 熊本県 熊本県

大西一史

「児童相談所全国共通相談ダイヤルの設置に関する提言」
火事といえば119番。犯罪は110番。これと同様に、子育てに悩んだ時などに、ためらうことなく児童相談所に相談できるよう、全国共通の電話番号の設置が提言された。実際、この提言が国の制度改正につながり、2009年10月より全国共通電話番号「0570-064-000」が設置された。重要な提言であり、実現に至ったという点でも意義が大きい。ただし、現時点で同番号が人々に知れ渡っているとは言えず、更なる工夫が求められる。

■最優秀コミュニケーション賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 石川県 加賀市

室谷弘幸

旧加賀市時代から通算4期・43歳。HPで積極的な発信を続けているが、中でも秀逸なのは、同僚の細野祐治議員(旧加賀市時代から通算4期・57歳)と08年から年に2回発行してきた『市議が分析した加賀市の財政』。毎回、病院、民生、ごみ、土木などテーマを定めて、詳しい分析を試みている。1万世帯に配布、やさしく解説する説明会も開く。今年からは市民委員を公募しての独自の「加賀市版事業仕分け」に発展した。あっぱれ!

特別賞 東京都 小笠原村

一木重夫

当選1回・39歳。小笠原に移住して10年。HPでの日々の発信に加えて、毎議会ごとに、議会の様子と自らの活動を報告する冊子『コーラルライン』を作成し、全戸配布する。8ページのカラー印刷、写真やイラスト、挿し絵をちりばめ、読みやすい。中でも自らの議会活動を採点する自己評価欄と村民の要望をすべて記載する村民要望欄が面白い。1300世帯・2400人の小規模な自治体ならではの独創的なコミュニケーション法だ。

優秀賞 北海道 旭川市

上村有史

当選1回・33歳。どうしたら若い市民の関心をまちづくりや政治・行政に引きつけることができるか、HPの動画などを通じて腐心してきた。そこで思いついたのが、議会報告をスポーツ新聞仕立てにすること。色彩豊かな大活字の見出しで、政治広報紙の堅苦しさから抜け出そうとのアイディア。09年から年1回の発行、4ページ・5000部印刷で制作費は1部30円。外形とともに中身も思いきった刷新を、やはり、そこがカギだろう。

優秀賞 埼玉県 和光市

井上航

当選1回・31歳。「配るホームページ」――チラシのサブタイトルにある、この言葉が議会報告の創意工夫をよく物語っている。HPだけでは見に来てくれる人は限られている。HPの記載をチラシにして駅前などでこちらから配る。しかも、開会前の予告、閉会直後の速報、後日の詳細報告と、3段階の配布を心掛けている。市民に市議会の出来事をできるだけ解りやすく説明し、自らの活動を知ってもらおうという地道な努力を評価したい。

優秀賞 神奈川県 相模原市

新政クラブ

定数46のうち16人が所属する最大会派(保守系)。市民意識を正確に把握しようと、08年度に続き、09年度も、市民アンケートを実施し、報告書を公表した。市民が市政をどうみているか、どんな要望をもっているか――こうした意識調査は行政の執行部側がやるのが普通だが、議会側が取り組んだ点が珍しい。その積極性を評価する。ただ回答率が0.1%未満なのは残念。設問や調査の方法、結果の活用法などをいっそう研究したい。

■最優秀議会改革賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 三重県 三重県

三重県議会

2006年12月の議会基本条例制定後も会期の見直し(年間約240日)や議員提出条例の検証、議員同士が議論する政策討論会議を実施するなど議会改革のトップランナーとしてふさわしい先駆的な取り組みを続けている。中でも議会の附属機関「議会改革諮問会議」は自治法の壁を破る試みとしても注目される。

優秀賞 北海道 栗山町

栗山町議会

議会基本条例で総合計画の基本計画を議決事件に追加。07年には議会修正案を作成、今年は総合計画の枠組みを規定する「総合計画の策定と運用に関する条例」を議会として検討している。総合計画の策定はこれまで執行部主導で行われてきたが、地域経営に責任を持つ議会としての気概を感じさせる画期的な試み。

優秀賞 北海道 福島町

福島町議会

11年に及ぶ「開かれた議会づくり」の集大成として2009年3月、通年議会や議員・議会評価などを盛り込んだ議会基本条例を制定。「町民が実感できる政策を提言できる議会」として総合計画基本計画への提言や議会による事務事業評価、附属機関「議会諮問会議」の設置など条例をベースとした果敢な改革が光る。

優秀賞 福島県 会津若松市

会津若松市議会

議会基本条例に基づく、市民参加を基軸とした政策形成サイクルの「拡張と精緻化」に挑む。専門的知見活用や議員間討議等を行い、市長が公表した公共施設建替構想素案に対する対案を提示、素案が見直された。もう一つの代表機関である議会の総合力を示すと共に、政策形成サイクルの新たな可能性を実証した。

優秀賞 千葉県 流山市

流山市議会

全国初のユーストリームによる委員会審議のライブ中継、携帯電話による電子採決方式の導入、ICT化基本計画の策定など自治体議会におけるICT活用の先頭に立つ。議長候補者にマニフェストを導入し、その進捗状況を検証・公表していることも特筆すべきものがある。

優秀賞 熊本県 御船町

御船町議会

議会基本条例の策定に当たり町民アンケート調査や町民との意見交換会、シンポジウムなどを実施。通年議会などを盛り込んだ議会基本条例を基に、町民との意見交換会や請願・陳情者が審議に加わるなど改革が加速しているのも特徴。

■マニフェスト大賞 首長部門

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 三重県 松阪市

山中光茂

 「『まっさか』を変えなあかん。山中光茂のマニフェスト」
第4回マニフェスト大賞では、首長部門でノミネートとされた。第5回マニフェスト大賞では、その後も引き続きマニフェスト型行政運営に取り組んでいる点が評価された。『2010マニフェスト・レポート』は、市長としてマニフェストに掲げた40の約束について、改めて市長の考え方を明らかにするとともに、それぞれの項目の実施状況や今後の見通しなどを示している。個々の政策の状況や今後の展開がわかりやすく示されている点がよい。また、2010年度の部局長の『政策宣言』では、昨年度の部局長マニフェストの評価を公表するとともに、再度、とりまとめを行った。独創的な点はないが、きめこまやかにマニフェスト型行政運営に取り組んでいる点は特筆してよい。
特別賞 長野県 小諸市

芹澤勤

「チャレンジ小諸マニフェスト2008 みんなの力で『子どもと環境が微笑むまち・小諸』を創ろう」
市長選選挙における首長ビラの公費負担条例の制定、マニフェスト作成支援要綱、「チャレンジ小諸マニフェスト2008」の工程表の作成、進捗管理の手法など、マニフェスト型行政システムの確立に努力している点が秀でている。さらに、マニフェストの達成状況を「広報こもろ」で毎年発表し、市民に説明責任を果たしている点も評価してよいだろう。さらに、マニフェストの「この4年間に行った実施」にある「選挙開票事務迅速化への取り組みで、迅速化全国1位に」では、本年8月に実施された長野県知事選挙の開票で「17分」という日本記録を打ち立てた。
優秀賞 埼玉県 和光市

松本たけひろ

 「和光市改革宣言~もっとよくなる和光の未来」
当選時には40歳だった若手首長の一人である。市民の協力の下でまとめた「6つの約束」と「和光市がもっとよくなる40のプラン」をマニフェストに掲げ、当選した。当選後の2009年10月には、マニフェストの行財政改革の項目に掲げた事業仕分けを早速行った。2010年7月末時点での40のプランの進捗状況の自己評価を発表し、進捗管理にも努力しているが、今後のさらなる展開に期待したい。また、ブログやツイッターなど、ITを使って継続的に情報発信を行っている点も評価できる。
優秀賞 神奈川県 神奈川県

松沢成文

 「☆条例マニフェスト☆ マニフェスト2007『神奈川力全開宣言』」
第2回マニフェスト大賞では、条例によってマニフェストにある政策を実現しようとする試みが評価され、首長グランプリを獲得した。第5回マニフェスト大賞では、先進条例11本がすべて制定されたことが受賞につながった。中でも、全国で初めて制定された「受動喫煙防止条例」は、制定過程で、規制対象となる団体や関係者とも議論を積み重ねるとともに、パブリックコメント、タウンミーティング、アンケートの手法を用いて県民の合意を形成することにつとめた力作である。条例を「てこ」にして、政策を推進する手法は、マニフェスト型行政運営モデルの新しい新地平を切り開いた点において評価できる。
優秀賞 兵庫県 多可町

戸田善規

「『元気』と『安心』の『種』まき宣言!」
マニフェストに掲げた7本柱28項目の中から、マニフェストを確実に実行するために、「自らの給与・賞与の20%カット」から手をつけた。次に、必要度、優先度が高い6点に重点的に取り組んでいる。マニフェストに掲げた個々の政策には、実施年度を明示しており、総花的に政策を実行していくのでなく、政策にプライオリティーをつけ、どのように実行していくのかを明示している点が評価できる。政策の実践に重きを置いたマニフェストといってよいだろう。
優秀賞 山口県 宇部市

久保田后子

「市民と語り・考え・動く オール宇部市を目指して」
マニフェストでは、3つの基本姿勢とその下に7つのテーマを掲げた。マニフェストに掲げた政策としては、事業の見直しにより、4年間で40億円の財源を創出するとしている点が特徴である。また、マニフェスト型行政運営を確立するために、達成目標、事業費、今後の取り組み、担当箇所を明示した「マニフェスト実施プラン」を定めるとともに、組織改正を行っている。マニフェストを実行する初年度に、できることからスピード感を持って取り組んでいる点が評価できる。マニフェストを掲げて当選した新人首長のモデルとなりうる事例である。
 
優秀賞 熊本県 御船町

山本孝二

「7つの約束 ふるさとの再生と創造」
第4回マニフェスト大賞では、首長部門で、審査委員会特別賞を受賞しており、マニフェスト型行政運営については、以前から、高い評価を得ているところである。特別賞受賞後も、御船町マニフェストまちづくり大会を開催するなど、住民、議会とともに町をあげてマニフェストを推進する取り組みは、自治体版マニフェスト型運営モデルということができるだろう。平成22年度の御船町予算説明書である「知っておきたい!平成22年度まちづくり計画」は、マニフェストの柱として掲げた計画の一環として毎年度発行しているものであるが、事業ごとの目標を指標化し、目標指向型の行政を推進する方向性がより明確になっている。本年度は、山本町長の任期の最終年度となるが、どのような形でマニフェストをとりまとめるかを楽しみにしたい。

■マニフェスト推進最優秀賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
最優秀賞 神奈川県 神奈川県

神奈川県立麻生高等学校

「生徒から始まるマニフェストサイクル」高校生が参院選のマニフェスト提案を政党等にぶつけ、模擬投票につなげる取り組み。生徒の提案は、時事問題をよく捉えており、実際の参院選とリンクさせた効果が出ている。また、提案に対して政党等からさまざまなコメントを得ることで、多角的な視点を獲得し、政策理解を深め、模擬投票の効果が格段に向上している。学校教育の枠を超えた実践的で質の高い取り組みが、教育面の効果にとどまらず、一般の有権者の意識・行動に影響し、民主主義の底上げにつながることにまで期待が膨らむ。

最優秀賞

模擬選挙推進ネットワーク

「未来の有権者の選択~未成年”模擬”参議院議員選挙」わが国における未成年による模擬選挙の啓発・普及をリードしており、ノウハウ紹介や相談、グッズの配布など、全国的な支援体制を整備している。その実績が、2010年度の参議院選挙において、全国20校以上で模擬選挙を実施することにつながった。主催者の要望に応じて主要政党のマニフェストの配布も行っている。なお、神奈川県では、すべての県立高校で模擬選挙が始まったところであるが、こうしたシティズンシップ教育の広がりに対する本ネットワークの貢献・功績はきわめて大きい。

優秀賞 三重県 明和町

リブネット・イセット共同事業体

「図書館マニフェストの評価・検証及び『元気な町の元気な図書館マニフェスト 2010』の作成」
2008年に初めて図書館マニフェストを策定し、目標の達成状況を毎年度評価・検証することで、図書館マニフェストに基づく運営サイクルを定着させた。その結果、項目ごとに定めた数値目標をすべて達成するといった成果をあげている。2010年に契約更新を迎え、新しい5年間に向けた図書館マニフェストを策定。PDCAをさらに実効的にするため、詳細なプロジェクト管理表を作成するなど、マネジメントが一層洗練されつつある。全国の図書館運営の改革に一石を投じる取り組みといえる。
優秀賞 宮崎県 宮崎県

公益社団法人日本青年会議所宮崎ブロック協議会

 「参院選に向けた宮崎選挙区の「マニフェスト型公開討論会」中止における代替策~ネット動画(候補者同士が質問を行い回答をする新しい形)で政策比較~」
口蹄疫の問題によって中止とせざるを得なかった参院選に向けたマニフェスト型公開討論会を、ホームページの動画の活用という方法で代替した。主催者の熱意と情報通信技術が結びついて実現した取り組みといえる。ただし、その陰には、事前に学生アンケートを実施するなどの準備があったことも見逃せない。また、ホームページ上の擬似的な討論とはいえ、クロストークの要素を入れるなどの工夫も加えている。公開討論会の新たな手法・補完方法として可能性を開いたといえる。
優秀賞 鹿児島県 指宿市

社団法人指宿青年会議所

「まちづくりへの市民参画向上への取り組み~指宿市長ローカル・マニフェスト検証大会から中学生によるマニフェスト型まちづくり提案事業まで~」
4年前の市長選でマニフェスト型公開討論会を開催し、衆院選でもシンポジウムと公開討論会を開催。市長任期の最終年に検証大会を開催し、さらに次の市長選と市議選で公開討論会を開催、マニフェストサイクルを一巡させた。さらなる市民への浸透を図り、若い層への働きかけをテーマに、中学生によるマニフェスト型まちづくり提案事業を実施。学校、商店街、市役所等の関係者をまとめた点も評価できる。青年会議所のマニフェスト推進運動の次の展開の一方向を示唆する取り組みである。
 

■審査委員会特別賞(箭内道彦選)

区分 都道府県名 自治体名 名前
特別賞 岩手県 岩手県 地域政党いわて

■審査委員会特別賞(秋吉久美子選)

区分 都道府県名 自治体名 名前
特別賞 岩手県 遠野市 本田敏秋

■審査委員長特別賞

区分 都道府県名 自治体名 名前
特別賞 爆笑問題